何をやってもうまくいかない
今日はどうにも機嫌が悪い
無気力に嫌気が差したあたしは
外の空気を吸いに行ったんだ

いつもの店できみを見かける
僕が座るときみは舌を鳴らす
何があったかなど聞きはしない
何もないから苛立っているんだろう

意味のない言葉をヤツは並べる
あたしは未分化の不満を洩らす
分かり合う気なんてさらさらない
ただ孤独を分かち合いたいだけだ

僕は慎重に態度を選ぶ
きみの話を真に受けてみせる
なるべく本心を伝えようと選ぶ
信じてもらえないと知っているけど

夜が更けると話し声が増える
右も左も言葉で満ちる
波に揺られると吐き気がするんだ
味方と敵の区別もつかないほど

きみは白い顔で歯を食いしばる
人の意志そのものを拒絶したがっている
近すぎる距離は心を歪ませる
多すぎる意志は脳を蝕む

サングラスを外しても色眼鏡は消えない
当事者になれない身勝手な言葉は
易易とあたしの厭な部分に触れる
見たくないものを引きずり出される

立ち上がるきみを僕は見送る
致死量の意志を溜め込んだきみを
そのためにここに来たんだろう
嫌うことでだけ自己が守れるから

何をやっても気分が晴れない
腹で渦巻く憎しみが消えない
心の厭な部分が消えない
きっと思い込みだ
そうだろう
何かが触れるたび腫れ上がって
死ぬまで振り払えないだけの思い込みだ


トップに戻る