7ただひとつの禁忌 / Mr.SPERMA × キャベツ 8点 (KOREHAHIDOI獲得数: 1)
【コメント】
・センスの塊のような作品。やはり一番最後の方で一番最初に出たネタを持ってくるのは読んでて気持ちが良い。 - xnu!7
・自死のところで言ってることなんか好き。あと最後な。まさかのオチな。オチが落ちないでぶらさがってるよ! - らいむ

【Mr.SPERMAあとがき】
いや?なかなか。予想より短くなってしまったけど。どうすかね。
サウンドブログで一緒しているキャベツくんとの合作です。まあ、彼にとってはデビュー作となるわけで、どうか暖かい目で見てくれ。
リレー形式です。どこからがどっちかわかるかな。あ、ラストはキャベツの担当です。タイトルの意味がここで初めて明らかになる的なアレだが…。すげえよなこれ。いや、当初はもっと強烈でストレートな表現だったんだよ。俺はもう頭抱えたよ。爆笑もしたけどな。まあなんかちょっとふわっとした感じに直して今の形になりました。
いやあ、やっぱりタダものじゃないね、キャベツくんは。またやりましょう。一人でも書いてくれ。期待してんよ。

【ちんちんをぶらさげてはいけない世界で良かったと思う素チン】淫卵
こんにちは。
大したこと書かないので、適当に読み飛ばしてください。

さて、「ただひとつの禁忌」、皆さんいかがでしたか?
全体を通してショートショート特有の小気味よさが溢れていたと思います。
人々を律してくれるはずの「禁忌」が、人の心や社会全体を蝕んでいくという展開が土台となり、そこに作者の軽妙酒脱な表現が重なってすっきりまとまった作品となっています。
どうでもいいですが、軽妙酒脱って言葉を正しく使ってみたいと思っていたので、この機会に使わせていただきました。これでコメンタリーを書く目的の半分くらいが達成されました。

それはさておき、作品を細かくみていきましょう。
一つ目の禁忌は「怒り」
2chの煽りのような、平静を装いつつ(隠しきれてるとは言っていない)顔は真っ赤みたいなやり取りが繰り返されるのでしょう。
あまり人間的とは言えないですね。

二つ目の禁忌は「世辞」
「人を褒める為の嘘」を禁止することで「他人を傷つける嘘」への反感がより高まる、面白いですね。
「元々の嘘の概念」マイナス「人を褒める嘘」=「新しい嘘の概念」ですから当然といえば当然ですが。
ちなみに自己保身のための嘘はどうなるんでしょうか。「ごめん、その日は忙しい」は、僕が一番使う嘘なのですが。
「世辞」に加えて「怒り」も禁止されてるわけですから、殺伐とした世界になりそうですね。

三つめの禁忌は「自死」
それは今の社会と大して変わらないのではないか、と初めは考えましたが、今の社会は自死を禁止しているわけではないです。
目に見えない禁忌と、目に見える禁忌とでは全く違います。
目に見えない禁忌を犯した人を責めるのは目に見えにくい方法、明文化されている禁忌を犯したならば社会が認めた形で責めることが出来ます。

そして最後の禁忌は「不満」
そりゃ、人々が不満を持っているのに不満を禁止したらキレます。

一つここまでの教訓としての結論を出すならば、「人は綺麗事で塗り固めて生きることはできない」となるでしょうか。
「怒り」も「世辞」も「自死」も「不満」も自分の周りになければ、喜ばしいことで独裁者もそれを理想としていました。
ですが、それを禁忌として抑圧するのでは意味がない、自然となくなるものでなければ意味がないのです。
無理矢理なくす方法では、世界がうまく回らないのです。
児童ポルノ禁止!と言ったところで、我々の中に若い女性を求める気持ちさえあれば、JCとえっちする漫画は消えないのです。
児童ポルノは女児保護のために禁止しないといけないものですけどね。
さて、その結果『禁忌による長い支配によってルールが姿を失い、怒りが行き場を失い、嘘が意味を失い、人は死に場所を失った。 』のです。
うまくまとまめましたね。
作者のどや顔が目に浮かぶようです(違ったらごめんなさい)。

そして、この社会で禁忌となったものは「性器を街なかでぶらさげて歩いてはいけない」です。
どれだけ人間が揺らいでも、街中でちんちんをぶら下げるのはおかしいと知っているようです。
「怒り」や「世辞」などが健全に生きるために必要な物だとしたら、「ちんちん」は不要なものという違いはありますが、人々はそこからまた一歩ずつ正しい社会を目指していきます。
「でも一度くらいは、ぶらさげてみたいとも思うのだ。」というフレーズが全てを内包しています。
やっちゃいけない、やらない方がいいことだけども、ついついやっちゃうよね、やってみたいよね、でもそれだけは我慢してくれ、という決まりごとが一つずつ積み重なって社会が出来ていくのだな、と思いました(こなみ)。

これほど短い作品で起承転結が完璧に書かれているのは本当に頭が下がります。。
面白がって読むだけでなく、示唆的な表現が散りばめられていて非常に楽しく読ませていただきました。
一つ気になるのは、独裁者が「禁忌」と定めたものは「規則」なのではないかという辞書的な意味のところです。
作るものじゃなくて作られるもののような気がしないではありませんが、細かいことです。

あとは、「怒り」、「嘘」、「自死」という流れにあまり一貫性がない気もしますがその一つ一つの中身が面白いので文句をつけるところではないですね(注、あとから合作だと知りました)。

それにしても、絶対誰もが正しいと思う規則は難しそうですね。
「性器を街なかでぶらさげて歩いてはいけない」というのは大部分の人は納得しますが、ヌーディストはそれを反自然だと言います。
それでも、「人は皆性器を見せびらかして歩くこと」と定めるよりは、正しい世界に進んでいくでしょう……。

【発表後コメント】
・健全に生きるためにちんちんは必要だろうが!!!! - Mr.SPERMA


5先を生きる者 / らいむ 8点 (ACE獲得数: 1)
【コメント】
・素晴らしいシナリオライティング。シメの演出も完璧、でもその下準備がクドすぎるかな - Mr.SPERMA
・ストーリーが二転三転して読者を飽きさせない。こういうどんでん返しもやってみたい。 - xnu!7

【あとがき】
先を生きる者のあとがき
 みなさん、こにゃにゃちわ?。お久しぶりです。らいむです。新規かつ書ききった作品での参加は「昨日の明日」以来になりますね。そしてまさかの二本立てです!
 こちらでは「先を生きる者」のあとがきを書いていこうと思います。白文字とかそういうのはないのでご安心を。
 今回のこの作品は中身の方でいろんな試みをしてみました。なるべく今までの自分っぽさを消してみようとしていました。別に今までを否定するわけではなく試みとしてやってみたかったのです。
 どうでもいいですが今回出そうと思っていたメイン作品は例によって例のごとく原稿落ちしてます。そもそも長すぎるので間に合わないとは思っていましたが、見事にいつも通りでございます。そして生まれたのがこの作品。
 一つ、全部なんでもかんでも説明したがらない!
 一つ、神様(的ないつものアレ)を出さない!
 一つ、長すぎず短すぎず!
 大体はここらへんを常に意識していました。それといろんな方々へのリスペクトを含んでいます。
 まず主人公のモデルというか話し方?に栗山氏本体を若干意識しております。彼ならこんなこと言いそうとか。もちろん俺の色眼鏡を通して全くの別物になっていますが。結果的に良いキャラにはなったかなあと思います。
 続いてお話の作り方。タイムリープするにあたって設定をちょっと考える。でもそれをそこまで説明せず日常の非日常っぽく、非日常の日常っぽく進めていく。最後に風呂敷を綺麗に畳んでみる。はい、xnui7氏のリスペクトです。まあまあ自分なりに消化できたかな?と。若干ごちゃごちゃしてしまいましたが。
 続いて人間ドラマ。主人公とその嫁の心の動きとかそこらへん。あえて多くは語らず雰囲気で伝えていく。大事なところだけは書く。こんな感じでpinkie氏をリスペクトしようとしたんですが、一番これがうまくいきませんでした。娘の話ももうちょっと掘り下げられたらなあと反省。やっぱあの人そういうのうますぎ。
 それとこの作品の随所に表れる(それっぽく?訳)シリーズですが、旧SLC第11回「理想のヒール」の14番「日曜朝八時半からのアニメとは何ら関係ございません / 霧の人 」の(裏声)リスペクトです!元作品では笑いを取る手法として用いられていましたが、これがものすごく印象的だったのでいつか自分の作品に取り入れたいと思っていました。なんとか自分流にアレンジして取り込めたかなと自負しております。
 こんな感じで他にもちょこちょこ誰それを意識したりしながら書ききりました。今までのSLCがあったから書けた作品であり、今だからこそ書けた作品とも思います。はちゃめちゃな話なんだけどぽんぽんぽん話を進めていくSLC作品に多い疾走感とか出したかったのです。
 とはいえ結局俺らしさが滲み出ていたらしく栗山氏には即俺の作品だとばれていましたが!無念!
 それではこの作品の内容のお話。これをバーッて書いたのは一晩だったので7時間くらいです。ですが、その前にiphoneに思いついたアイデアとしてメモ記録されていたのを元にしているので意外と温めていた時間は長かったり?ちなみにメモはこれです↓

思い込みのちょっと激しい主人公。
タイムリープで過去に。少し若返る。自分がかつて道を誤ったのはサブカルのせいだと思い込んでいた彼はサブカルのない過去で人生をやり直す。なんとなく空虚感を感じながらも充実した生活を送る。ある日彼は町の手習い子供達の間で流行っていた絵を見つける。それはこの時代にはおおよそありえない未来の画風であった。マンガである。しかも彼のハマった絵柄に似ている。なぜだか彼は怒りがわいてくる。自分がこんなことになったのもこれを描いた漫画家のせいだと。これを描いた子供の子孫が自分を狂わせた漫画家を生むのだと思い込み、彼は子供のもとへいく。ぼうっとしたかおで絵を描いている子供を見た彼はどうやって彼を殺すかばかりを考えはじめる。そして、ある晩彼は井戸に子供を突き落とした。子供は井戸に落とされる瞬間振り返って笑った。
後日彼のもとに子供から死ぬ前に出された手紙が届く。その中には最後のマンガが入っていた。それは彼のハマった漫画そのものだった。そしてまだ終わっていなかったはずなのにそのマンガは完結していた。タイムリープと同時に若返った漫画家本人だったのである。マンガの結末は…?

 はい、こんなん。原稿落ちコレクションで結構見せびらかしましたが俺のメモ帳こないなもんばっかやねん。ばっかやろ?
 いやあでもこのメモがこの作品に変わったんです。意外にも結構準拠してますし。違うのは漫画家の子供が自殺になったとこぐらいです。あとマンガの中身と本筋をリンクさせようとしてたのをやめたってことが大きな差ですかね。いやあやらなくてよかった(汗)アネモネ様に凹られるとこでした。マンガの中身描いてたら完全敗北でしたよ。
 でで、いろいろあってこの作品ができました。書き終わった次の日とか数日後に結構書き足したり書き換えたところが多くあります。〆切に余裕があるっていいね!結果的にはなんだかんだ思い入れの大きな作品になったので満足です。詰め込みすぎ感はありますが。実在するマンガネタを入れるか入れないかで悩んで入れなくて正解でした。作中にあるマンガの決め台詞ですが、なんか元ネタはあったような気がするのですが調べても思い当たりません。これじゃね?ってのがあれば教えてください。タイトルは今回は後付けです。先(=未来)を生きる者と先生(二人)のダブルミーニングです。禁忌というテーマは元々はタイムリープで過去を変えたらどうなるかというのをやるつもりでしたが、こういう形に収まりました。うまく消化しきれてない感がバリバリです。
 そしてここからいつもならば設定の解説が始まります。ここのこの表現はこういう意味だったんだよ、とか、実はこういう設定だったのさ、とかですね。今回はなんとそういうのナシです。もう結構したじゃんってツッコミはなしですよ。いつもよりシンプルに伏線なり表現なりができた気ではいます。気づいた方がおお、と思っていただけたら。その程度でいいのです、今回のこれは。もしかしたらこうなのかなっていう余韻があったり。そういう感じでも、いいんですいいんです。気に入らなかったらそれはそれです。読み流してて気付かなかったりするのもそれはそれです。でも聞きたかったら聞きに来てください。一応ちゃんとありますから。なんといっても説明したがりが本性なので!
 でもでもやっぱり今回はみなさまに読んだままを提供していきたいのです。そろそろお分かりですかね。アレ言って決めたいだけです。せっかく作った決め台詞ですから。「ホントもウソもねえ、お前の眼で見た事実が真実だ」ですよ?。
 またまた少し長くなりました。ではまた、次回にでもお会いできたらなと思います。あ、大投票よろしくです。


5禁忌の睡魔 / らいむ 8点 (ACE獲得数: 1)
【コメント】
・シリコンの形式を上手く活用した作品。反転で意味が変わるのは見事。 - xnu!7
・今までにない描き方がCOOL!しかし、話は堂々巡りで退屈に感じた。どこかでなんらかの気付きが欲しかったすね - Mr.SPERMA
・境界にこそ意味がある、起きても寝てもいない人間は死んでいると同義。分化を遡った抽象化の果てには何もない。そういう事かな?と思った。
・睡眠時無呼吸症候群との診断を受けました - 淫卵
・独特。自分はネットで文章読む時文字選択する癖ついてたのだけれども。

【あとがき】

禁忌の睡魔のあとがき
 みなさん、おはようございます。
 どうもらいむです。今回二度目のあとがきです。ちなみにこっちの方が書いたのは先です。
 睡眠についてのお話。白文字を使って二通りの表現をしてみました。
 投票開始から一時間の間に読んだ人は多分いないよね!一時、システムのバグで白文字が水色だったとかなんとか。あれはあれでアリだったかも。
 これは私だと分かりやすかったのではないでしょうか。表現も書き方も内容もぽいかなと思います。時々書きたくなるんですよこういうの。
 最近やたら眠れなかったり、寝ても眠れた気がしないことが多いのです。
 そんな感じでこの作品は、二日間寝れなくていっそ三日目じゃーと三連続徹夜したあと三日眠り続けた体験を元にしています。プラス日頃考えている睡眠のお話とそれへの禁忌を考えてみたりして混ぜこぜ。
 いやあ不思議ですよね寝ることって。三日寝なくても一日寝れば何とかなるし、三日寝続けても一日起きればまた寝れる。でも基本は一日おき。じゃあずっと起きてるのは?じゃあずっと寝てるのは?そんなことと生死を絡めてひたすら睡魔が語り掛けてくる。そんなお話でした。同じようなことをだらだら繰り返して問い続けます。まどろみのように。読んでて眠くなったなら狙い通り(笑)
 毎日寝て起きてる私たち。あたりまえってよく考えると不思議ですよね。あたりまえの何かについて考えることが禁忌ってのは意外と多いと思います。神とはなんぞやだったりなぜ人を殺してはいけないのかだったり。
 あたりまえでしょ?って言う前にそれについて考えてみると意外と怖いことは多いのです。私の場合、今回の場合、それが睡眠だったというわけです。
 マズいですね。あとがきも同じようなことぐるぐる言ってますね。まいっか。
 三日寝なかった時は怖かったです。道路や木が人の顔に見えて、誰かに見られているような悪寒がずっとするんですよ。風呂で鏡を見ると自分は笑ってないはずなのに鏡の中の自分が笑ってたり。玄関の向こうにずっと誰かがいるような気がしたり。マジで怖かったです。
 三日寝る時は日頃半日寝たりする人種なので割と幸せでしたが、腰が痛くてきつくなりました。流石に寝すぎて眠れないよってなると一瞬寝て起きてを繰り返すようになりました。夢で見る記憶がどんどん遡っていくのは貴重な体験でした。あとやたら熱くなったんですが、起き続けた時の寒気と逆なんでしょうかねえ。
 余談ですが昔ほぼ絶食もやってみたことがあります。十日ぐらい水と少しのグミだけで生きました。一週間弱すぎてからなぜか元気が出て来たんですよねえ。貯めてたエネルギーを振り絞って使い始めたんでしょうかね。食べることについての禁忌やってみるのも面白かったかなあとふと今思いました。
 今さらですがこのあとがきちゃんと白文字になってます?ってか皆さん白文字が本編にあったこと気づいてました?黒文字だけでも成立するようにして、白文字も入れると意味が反転とまではいかなくてもかなり変わるように作ってあります。よければもう一度ぜひ。スマフォだと反転しづらかったかなあと反省。BODYだけでCSSかなんかを導入する方法もいろいろ考えたんですが諦めました。
 うーんやっぱり読み直さなくてもいいです。このあとがきを読むなりして、今あなたが心の中で自分に無意識に課している当たり前の何かを無くしたり止めたりした状況を想像するきっかけになれば、それだけで十分この作品を書いた甲斐があるのです。禁忌について自身に問いかければ必ずや何らかの意義を得られるだろうと私は思っています。禁じられることの反対側に意味があるから自分や誰かが禁じているわけで。他人に迷惑がかからないなら実際に禁忌を少しだけ犯してみるのも面白いと思いますよ。あくまで無理のないようにですが。何かが得られればラッキーだね、みたいな程度で。
 それでは今度こそ、みなさんおやすみなさい。



4Swollen / Mr.SPERMA 9
【コメント】
・忌み嫌う腫れものに惹かれしまうのもまた禁忌の理。嫌うことで自己は保たれる、のかな? - らいむ
・作者がダイレクトに出てて良いね - 淫卵
・言葉選びのセンスが安定していて流石。 - xnu!7

【あとがき】
わかりきってるかもしれねーが、いつもの店ってのはTwitterの暗示です。

詩の題材というか方針に関しましては、pinkieをパクりました。(直球)
ストーリーだてた感じや、徹底的に内向的な言葉選びなんかですね。しかしまあ、俺ならではのものができたんじゃねえかと。
こんなにはっきり暗い詩を書いたのは初めてだよ。書いてて落ち込んだもん。まあたまにはいいでしょう、みんなも落ち込んでくれよな。


3ひるめも! / 言無人夢 11
【コメント】
・どんどん真実が分かってくる形式の小説も飽きずに読める面白さがある。きちんと読ませる文章を書けるというのは立派な技術。 - xnu!7
・こやつ情報の出し方が巧みすぎる - Mr.SPERMA
・キャラがものすごく好みです、どっちも。「まさかのifから始まる物語!?」 とか「違うわい」 とか。地の文だと 垂れ下がる。  とか好き。 - らいむ
・「がっこうぐらし」を思い出した - 淫卵
・夏ですね。怪談ですね。
・忘れる事で人も神も生きられるんだなーと。

【あとがき】
某アニメの一話放送と同時にネタが微妙に被ったことに気付く(悲しい


2或る男の一生 / 淫卵 12
【コメント】
・表現技法が洗練されてる。最後の一行がとても好き。 - xnu!7
・なんか昔「週一」だかなんだかのあだ名をつけた気がする。書く技術がいつも進化してて激しく嫉妬。 - らいむ
・良かったホモオチじゃなかった
・高校生の頃、ちんぽがまったく立たなかった時期があったのを思い出し、切なくなりました - Mr.SPERMA

【あとがき】
禁忌ということで、性的タブーとされているものを並べてみました。以下の通りです(初出順)
・(子供の)自慰行為
・同性愛(おちんちん触るとこだけなので弱いです。僕はホモじゃないです。)
・近親愛
・女性への暴力
・強○
・強○殺人
最後の自殺もタブーに入るでしょうか。

歪みが歪みを生んでいく過程を書きたかったですが、うまくいきませんでした。
殺人までして警察に追われているのですから、落ち着いて死をかみしめながら病床で遺書を書くわけにもいきません。
差し迫って過去のことを思い出しながら遺書を書いてるので、こういうバランスにならざるをえないかなと。
指名手配されてニュースになり、自己顕示的な欲求と恐怖の狭間で書いたと考えています。

読み返して思ったのは、同じような作品しか書けないなということです。
過去の自分があって今があるという話の流ればかりです(Wake Up、雨のち晴れ、登場人物と新SLCで既に4度目ですね)
書きやすいからでしょうが、ちょっと新しいものを書いてみたいですね(毎回言ってる)。

とりあえず、声を大にして言いたいことは、これを読んだ女性の方は、子供のオナニーを目撃しても咎めないであげて下さい。
男の子がおちんちんをいじるのは正常なことです。


色々感想を頂いたので、ちょっと補足を。
この遺書は言い訳のつもりで書いてます。
自分の中に女性を殺す(強○の極地だと考えています)衝動があることを否定したくて、それを理解してほしくて書いているのです。
原因は幼少期の自慰への強い否定によるものだと。
そういう意図があるならそれを分かりやすく書けという話ですね、力不足です。

【或る男の一生のここがCOOL】Mr.SPERMA
えーこの『或る男の一生』という作品は、過度の抑制によって(と、少なくとも本人は思いたがっている)性の行き場を失い、歪んでしまった青年の罪とその顛末を、遺書という形で描いた作品です。
遺書とは言っても、その文体は非常に話し言葉的で、あくまで『自分を主人公にした物語』風に描かれているのがわかります。経験が記憶に、記憶が物語になる中で、それを無意識に歪め、自分の都合のいいように解釈して語っている部分も、おそらくあるでしょう。そんなアンフェアなメッセージが語るのは、事実の主張ではなく、自分への言い訳なのでしょう。

まあそんな作品ですから、その重く暗いメインテーマとは裏腹に、随所に小粋な表現が見え隠れしたりもします。
そういったところも含め、細かい表現が非常に魅力的で、そしてリアルな作品なので、今回はその中から俺のお気に入りをいくつか紹介しよう。

『お風呂やリビングは康史君の家の方が綺麗だったが、夕飯は僕の母さんが作ったものの方が美味しかった。
だけど、それは単に自分の母親の味に慣れていて、他人の家庭の味を受け容れられなかっただけだろう。
美味しいけど、味付けが何となく気に食わない彼女の手料理を食べた時にそう思った。 』
これなんかリアルだよね。彼女の料理に得も言われぬ違和感を感じて、不意に実家の料理の味を思い出すっていう。こんなの物語的にはなくてもいい部分なんだけど、主人公の生活ぶりを想像させるのに一役買ってる。
思うに、主人公はふつうの部分ではふつうに幸せな人だったんだよね。それがなんか、やりきれねーよな。

『ここで僕はやめるべきだった。
たとえ、妹に対して下劣な感情を抱いているにしても、その妹を撫でた手で自分を慰めていれば、少なくとも迷惑はかけない。
当時に戻れるなら自分を殺して止めるであろう。 』
主人公が壊れる明確なきっかけがあるとすれば、妹にキスをしてしまったこのシーンでしょう。そのまさに瀬戸際、手を出すか出さないかの分かれ目。決して越えてはいけなかったその紙一重を越えてしまった。触れてはいけなかった禁忌に触れてしまった。『罪悪感』が『罪』になってしまった。
この物語のクライマックスは、間違いなくここでしょう。
兄の劣情を身に受け、それをスルーした由紀乃の心中は計り知れませんが、そんな出来事があったことすら忘れてしまいたかったというのがホンネじゃないですかね。兄を断罪しようがするまいが、厭な記憶は消えてくれないからね。そんなことは関係なかったんだと思います。いずれにせよ、兄妹としても、人と人としても、もうおしまいだと判断したのは間違いないでしょう。

『僕も彼女も歌は下手でも得意でもなかったが、よくカラオケにはお世話になっていた。
ただ、僕は彼女のハスキーな声が好きだった。 』
こういう何気ない描写から、やはりこの時はこの時で恋人に夢中で、本当に幸せだったんだろうな、と感じさせてくるのがうまいな。こうも飾り気のない文章で、よくここまで読む者に感慨を与えてくるというか。むしろ、不純物のないかっこいい文章だとまで思ってしまうのは、まあ洗脳のされすぎだろうな。

『僕は死ぬべきタイミングを逃してきたが、今の僕は自分で自分を殺さなくても、社会から死ぬべき存在として認知されている。
人を犯し、殺し、自分が死ぬ資格があると思うこと自体おかしいのかもしれない。
僕は性的にだけでなく、全てが歪んでしまったのかもしれない。 』
性欲の行き場を失くし、狂ってしまった主人公。自分の性欲を受け容れてくれるのが、ただひとつ『殺人』だったのだと気づいたときの自己嫌悪は凄まじいものがあるだろう。それだけに、『殺人』に至るまでの過程を、もっとガッツリ驚きと恐怖をもって見せて欲しかったというのが正直なところだ。
許す・許されるというのは相手がいてこそ成り立つのであって、そうである以上、この主人公は許されることも許されないこともできないわけですね。劣情を向けた妹に否定されることもできなかったのが、それを象徴しています。

まだまだ、いい言葉いっぱいあるんだけど、きりがないので。俺からはこんな感じで。
『俺の好きな台詞が入ってない』『これを紹介しないとか脳ミソ腐ってんじゃないの』みたいなご意見もあるかと思うんで、そこは発表時の発言欄にでも書いてくれよな?。

【発表後コメント】
・コメンタリーありがとう! そう、普通のところは普通なんだよね。許す・許されないについてはなるほどと思った - 淫卵


1アネモネ / xnu!7 20点 (ACE獲得数: 4)
【コメント】
・どんでん返しのインパクト以上に、安心感があふれでてくるハッピーエンドでよかったなあ。姉なりの思惑がじわりと伝わるのがいいよね - Mr.SPERMA
・「恨んでよ……」以降が鳥肌ものですわ。完璧。ラストに来るのはもはや反則。 - 淫卵
・なんだよアネモネの花言葉「あなたを愛す」って!なんだよスズランの花言葉「再び幸せが訪れる」って!なんだよ作品順番最後って!ズルいよ!すごいよ!姉もね! - らいむ

【あとがき】
 やっと梅雨が明けました。こんにちはxnu!7です。読んでくれてありがとう。
 ずっと前から書きたいなと思っていたネタがありまして、それを書くならテーマは「禁忌(タブー)」がいいなと思ってました。それでそのテーマを投稿したら採用されたので嬉々として書いた作がこの「アネモネ」です。
 新シリコンではなかなか良いアイデアが出ずに〆切直前に無理矢理作品をひねり出していた事が多かったのですが、今回は事前に構想を練れたのでようやく旧シリコンレベルの完成度のものを出せたのではないかと思います。むしろ旧シリコンでありがちだった「やりたい事を作品に全部詰め込む」というのをせず、表現したいことに全てのベクトルを向けて要らない物をそぎ落としたので前より洗練されてるかもしれません。いやむしろ旧シリコン終わって結構経ってるので進化してて欲しい。
 書きたかったのは姉妹愛ですが、それにボタンさんを用いたのは昔のセンター小説から貰ったアイデアです。「デューク」って小説覚えてますか? 犬が死んで悲しんでたらイケメンボーイが現れ、デートして最後にキスしたらそのキスが死んだ犬のキスにとても似てた??という作品です。僕が書く女の子は大体どこにでもいそうな女子高生か「貴方」とか言いそうな大人びた女性ばっかりなのですが、その作品を思い描きながら書いてたら今までに無い暖かい女性が書けたのではないかと思います。
 それからタイトルの「アネモネ」ですが、五味太郎さんの絵本にあった「妹大好き。アネモネ」というしょうもないギャグからとりました。アネモネの和名は「牡丹一華」なので二人の名前はそこからとったのですが妹の名前は割と適当で、アネモネの花言葉が「あなたを愛している」、鈴蘭の花言葉が「再び幸せが訪れる」だと教えて貰っ時の衝撃は半端じゃなかったです。偶然は恐ろしい。
 「愛に気づく」というテーマの作品は旧シリコンの「真冬の蝉」に続いて2作品目です。それぞれ親子愛と姉妹愛なのですが、主人公が中高時代に家から離れて遠くへという設定は同じだったりします。その辺自分の経験が反映されてますね。だから結構実体験入ってますが、この2作品でネタを使い果たした今もう似たような作品は書けないかもしれません。それでも今回やりたい事をやれて多少の自信がついたので次も頑張っていきます。そろそろ底抜けに明るい作品が書きたいなあ……。
 ではこの辺で後書きを終わります。次回のテーマは「夜」ですね。次回もよろしくお願いします。

【発表後コメント】
・やはりというかなんというか、ぶっちぎりだァ - Mr.SPERMA


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