1〜10の数字が書かれたルーレットを回す。
7で止まる。
ラッキーセブンだと思ったら、スリに遭って所持金50万円盗まれた。
「あはは、悠馬らしいスタートだね」
彼女は白い歯を見せて笑いながら言う。
今度は彼女がルーレットを回す。
彼女のコマは俺の1マス先で止まる。
彼女は「よしっ」と言ってもう一度ルーレットを回す。
どうやら、10万円×出た目の金額を貰えるようだ。
彼女は80万を紙の束から取る。
悔しいけど、余裕ぶって俺も笑ってみせる。
どうしてこんな時間に、俺は幼馴染と2人で人生ゲームを始めたのだろうか。
テレビをつけたが、もうほとんどの局は終了していたので、仕方なくNHKの番組を垂れ流す。
俺がルーレットを回そうとすると、彼女は言った。
「ねぇ、折角だし何か賭けようよ」
「それ、自分が勝ってる状態で言うの?」
小悪魔という言葉では許されない、ただただ卑怯だ。
「まだ序盤じゃん、何が起こるか分からないよ」
「まぁいいけど」
どうせコンビニで何か買ってくるとか、そういうものだろう。
しかし、彼女は先ほどと同じように笑いながら、思いもよらぬ条件をつきつけた。
「じゃあ、私が勝ったら、ゆかりと付き合ってあげて」
「……は?」
ぼーっとしていた頭に、血が上っていくのを感じた。
「だから、ゆかりと付き合うの。恋人として」
「ちょっと待て、ゆかりってお前の親友だろ? どうして俺とゆかりが」
「ゆかりは、悠馬のことを好きなの。まぁ、私も昨日知ったんだけど」
ゆかりとは3人で遊ぶこともあるが、そう思われていたのは予想外だった。
「だからってこんなゲームで決めるのはおかしいだろ。まだ頭ん中整理しきれないし……」
「いいじゃん、いいじゃん。ゆかり良い子だよ? 私が保証する」
確かにゆかりは見た目も悪くない、気遣いも出来る、特に欠点はないと思う。
だからといって、そんなことを人生ゲームで決めるのはやっぱりおかしい。
それに俺は……
「ほら、黙ってないで、さっさと決めちゃいなさい」
彼女との付き合いはもう15年にもなるだろうか。
家が近いと言うだけで、大学生になってからもずっと付き合いは続いている。
この距離は、このままずっと変わらないのだろうか。
「分かった。賭けなんだよな。じゃあ俺からも条件がある」
「うんうん」
「俺はお前の……」
「え、私の?」
「おっぱいが揉みたい」
俺は所持金に八倍の差をつけて勝った。
おっぱいは柔らかかった。
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