あるところに、小さな王国がありました。
王家は滅亡の危機に瀕していました。王様のロバートが急な病で床に臥せってしまったのです。しかしロバート王には世継ぎが居ませんでした。そこでロリータ姫はお触れを出しました。
「五つの品物を集めてきた者を我が夫とする。その品物とは——」
国中の男衆が広場に集まり、固唾を呑んで姫の言葉を聞いていました。
「火竜の爪、ジュエルゴーレムの心臓、鬼ヶ島の地酒、地獄玉葱の球根、ふたなりサキュバスの精液である」
途端に広場がざわめきに包まれました。ひとつ手に入れることすら至難の業と思われる珍しい宝を、五つも集めろというのです。
ある者は諦めのため息を洩らし、ある者は「この期に及んで王女は方便を使って結婚を避けようとしている」と非難しました。そんな中、一攫千金を夢見て立ち上がる者達も居ました。腕自慢の傭兵に、熟練の盗賊、権力を握る田舎貴族。無謀な課題に挑む物好きな彼らを、人は『コレクター』と呼びました。
太郎もコレクターの一人でした。太郎はしがない鍛冶屋の一人息子でしたが、村を出て旅をすることにしたのです。
集会の後、大臣はロリータ姫に尋ねました。「どうしてあの五つの品物をお選びになったのです?」
「火竜の爪は砕いて飲むと長寿の薬になると言われる。ジュエルゴーレムの心臓は非常に高価な宝石だ。鬼ヶ島の地酒は、この世でもっとも美味だと言われる。地獄玉葱から作られる香は、悪魔祓いに最適だと言われる」
「では、サキュバスの精液は?」
「ふたなりサキュバスは優れた獲物に精液を塗りつけてマーキングをするらしい。サキュバスは何年経とうがその匂いを嗅ぎつけて、また犯しに来ると言う。つまりこれを入手して体に塗りたくればサキュバスのおねえさまに思う存分犯してもらえる薔薇色の日々なのじゃあ!!男など知らぬ!」
「では、夫に迎えるという話は…」大臣はがっかりして項垂れました。
「約束は守るぞ。結婚はする。だが、私がそやつの子を産むことはなかろう」
一人でドラゴンを討伐することは難しいと考えた太郎は、傭兵を雇うことにしました。しかしお触れはすでに国中の噂に。すでに激しい競争が始まっていて、多少の金で動いてくれる傭兵は居ません。
そこで太郎は言いました。「ドラゴンの爪は前後ろ合わせて十二枚ある。僕と一緒にドラゴン退治をしてくれたら、その一枚を差し上げよう」
獲得した爪をパーティで山分けしようというのです。こうして太郎は十一人の仲間を集め、協力してドラゴンの山へ向かいました。
ドラゴンとの戦闘は苛烈なものでしたが、十二人が協力しあって、なんとか一匹のドラゴンを倒すことができました。半数の六人が戦没したので、一人頭二枚の爪を剥ぎ取り、太郎たちは山を駆け下りました。
ジュエルゴーレムの心臓は、さらに難題でした。心臓はゴーレムの唯一の弱点であり、心臓を刺し貫くのがゴーレムを狩るための鉄則であるからです。他の部分は固い外皮に覆われ、傷をつけることすら難しいため、心臓を傷つけずにゴーレムを殺すことなど、誰もしたことがなかったのです。
太郎は深い森に住む賢者を尋ねました。二枚目の爪を売って得た大金を賢者に差し出し、こう言いました。「あなたは爆破魔法の専門家だとお聞きしました。ジュエルゴーレムを倒すため、ぜひご協力願いたい」
賢者は受け取った金を戸棚に仕舞って言いました。「いいでしょう。ただし、私自身が危険にさらされるのは御免こうむる。数日待ってください。役立つ道具をお作りいたします」
太郎は近くの村に宿を借りて数日過ごしました。ある朝、部屋の窓をカラスがつつきました。カラスは首に紙と数本の筒をぶら下げていました。
紙にはこう書かれていました。「この筒は魔炎筒と言って、穴を敵に向けて紐を引けば、最新の爆破魔法が発動するようになっています。心臓を傷つけぬため範囲は狭くなっておりますので、よく狙ってください。ご武運を」
太郎はこの魔炎筒を使ってゴーレムの四肢と頭を爆砕し、何日もかけて心臓を丁寧に切り出しました。
鬼ヶ島は東洋にあるという噂でしたが、たどり着いた者は誰も居ませんでした。激しい海流に船が飲み込まれてしまうからです。
そのため、船乗りの間では立ち入ることが禁忌とされていました。そこで太郎は実家に戻り、技術者仲間にこう呼びかけました。「どんな風にも負けない強靭な気球を作りたい。みんな、協力してくれないか」
村の仲間は喜んで協力してくれました。布を織り上げ、木を組み上げ、一ヶ月もすれば立派な気球ができました。仲間は「ついていこうか」と申し出ましたが、太郎は「命が助かる保証はない。みんなを危険にさらすわけにはいかない」とこれを断り、空の旅に出発しました。数日後、空の向こうにぼんやりと黒い島が見えてきた頃、気球は乱気流に襲われました。太郎は柱に必死にしがみつきましたが、とうとう布が破れ、気球はまっ逆さまに落ちていきました。
太郎が目を覚ますと、数人の男たちに囲まれていました。彼らはみな異様にガタイがよく、肌が黒光りしていて、半裸でした。機嫌を損ねたら殺されると思い、びくびくしながら尋ねました。「ここはどこですか?」
「ここはコシキジマだよ。あんたら西洋の連中は、鬼ヶ島とか呼びやがるがね。あんた、幸運だよ。普通、空から落ちてきたら、無事ではすまない」
そう言われて、太郎は自分が墜落したのを思い出しました。そして無事に鬼ヶ島に着いたことを喜び、男たちに地酒をもらえないかと頼み込みました。
「売るのはいいが、あんた、こっちの金を持ってないだろう。働いて返してもらうが、いいか」
こうして太郎は一ヶ月ほど働くことになりました。もともと鍛冶屋だったので、金属加工はお手のものでした。男たちはその技術に大いに喜び、二箱もの酒を持たせてくれたうえ、太郎を担いで泳ぎで海を渡してくれました。
地獄玉葱は、王城近くの森にいくらでも生えていました。しかし、地獄玉葱は引き抜かれると特殊なガスを放ち、それを浴びた人間は目から涙が溢れ、悪臭に鼻を壊され、精神が狂ってしまうのでした。これを解決するため、太郎は再び賢者の元を訪ね、対策を仰ぎました。
「ガスマスクが必要ですね。特別な木の皮と、石油と、魔力がこもった結晶があれば作れますよ」
材料はすぐに集まりました。村の仲間や昔の傭兵仲間、鬼ヶ島の屈強な男たちが協力してくれたからです。
「早いですね。あなたは人望がおありだ。実は私も魔炎筒を開発してから、欲しがる人があとを絶たなくて非常に儲かりましてね。あなたには感謝しているんですよ」
数日すると、太郎のもとにガスマスクが届けられました。これにより、太郎は精神崩壊を免れましたが、しばらく臭いが取れず外に出られませんでした。
四つの品物が揃いましたが、最後が問題でした。サキュバスは探しても見つかるものではありません。太郎はサキュバスが夜中、自分のもとにやってくるのを祈りながら過ごすしかありませんでした。
ある夜、太郎は部屋の窓が開く音で目を覚ましました。誰かが部屋に入ってきたのです。姿を横目で見ると、大きな角と長い尻尾、それに恐ろしく立派なモノが生えていました。ふたなりサキュバスです。
太郎は立ち上がろうとしました。しかし、体が一向に言うことを聞きません。しまった、と思う頃には、すでに服を脱がされ、四つん這いにさせられていました。
「身体の自由は先に奪わせてもらったわ。じゃあ、いただきま〜す☆」
有無を言わさず挿入され、腰を振られます。感じたことのない苦痛に、太郎は叫びました。
「苦しい?ゴメンね〜。でも大丈夫、すぐに気持ちよくなるから」
突かれるうちに尻穴がこなれてきたのか、だんだん動きがスムーズになってきました。サキュバスの鈴口から汁が溢れ、それを潤滑油にしてさらに抽送が激しくなっていきます。太郎は苦痛とも快感ともつかない未知の感覚を感じました。
「じゃあ一発目いくね〜」
サキュバスのブツが一瞬脈打ち、太郎の尻腔に大量の精がドバーっと放出されました。体の中に熱を感じ、太郎はうっと呻き声をあげました。
「感じるでしょ?もっと感じてよ」
サキュバスは今度は太郎の背中に抱きつき、密着した状態で動き始めました。両手は繊細な動きで太郎の乳首を弄ります。弾き、抓み、転がし、その多種多様な快感に戸惑い、太郎は肩を震わせました。すでに意識は朦朧として、何も考えられなくなりつつありました。
「そろそろいいかな〜、じゃあ、ジャンプ!」
瞬間、周りの世界が消え、暗闇に染まりました。
「ここは夢の世界。夢魔であるサキュバスは、夢の中でこそ真価を発揮することができるのだ。つまり、さっきまでよりずっと気持ちよくなれるんだよ」
話しながらも腰を振られ、体中をいじられ、太郎の耳にサキュバスの声は入っていませんでした。快感にむせび、甘い息を洩らすので精一杯でした。
「もう限界かな?じゃあそろそろ、一発目、イッていいよ。イッちゃえ!」
サキュバスが勢い良くブツを突っ込みました。その瞬間、太郎の全身が痙攣し、ぐったりと力が抜けました。股間から、精がドロリと垂れ出します。
「気持ちよかった?でも、まだまだ終わらないよ、ホイ、立って!」
出しては出され、出されては出し、終わりなき快楽の連鎖に太郎は飲み込まれていきました。気を失っても、気が触れても、サキュバスの責めが終わることはありませんでした。
その永遠にも思える時が過ぎ、ようやく朝がやってきた頃、太郎のお腹の中にはびっしりとサキュバスの精液が詰まっていました。
五つの品物を全て揃えた太郎が王城に入ると、玉座には太った男が座っていました。
「ロリータ姫にお会いしたいのですが」
「ロリータ?それは10代ほど前の王の名じゃな」太った男は言いました。「とても有能だがわがままな女王だったと聞いておる。結婚がしたくないからといって、結婚の条件に無理難題を突きつけ、生涯独身で通したそうだ。当然、世継ぎがおらんでのう。隣の国から連れて来られた遠い親戚が、わしの先祖であるゴンブト1世じゃ。それがどうしたかの?」
太郎は絶望しました。サキュバスに陵辱されている間に、現実では300年の時が流れ、姫はすでにこの世を去っていたのです。
両親も、助けてくれた仲間も、屈強な半裸の男たちも、もういません。
太郎はドラゴンの爪を踏み砕き、ジュエルゴーレムの心臓を斧で叩き割り、腐った球根を引きちぎり、酒にサキュバスの精液を流し込んで何度も飲み明かしました。精液の混ざった酒はほんのり甘苦く、太郎はブツを固くして泣きました。いつまでも、いつまでも、泣いていました。
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