4東方大福帳 / 2Bm 14
【コメント】
・話の構成作りがしっかりしててどこに出しても恥ずかしくない東方二次創作。色についてのオチはなるほどなと納得させられる - xnu!7
・起承転結しっかりとまとまった短編。東方良く知らないのでちととっつきにくかったのが残念。
・正直、前作とは比べ物にならないくらい面白い。色の引き算もミスリードも唸らされる。ただキャラを出しすぎた感はあったかなぁ。 - Mr.SPERMA
・桜の色が文字なのに綺麗。文字だから綺麗なのか。 - らいむ

【あとがき】
 お久しぶりです。2Bmです。
僕が無類の東方好きである事を知る人にはタイトル段階で分かる作者でした。
香霖堂と花映塚の話をミックスしつつ僅かにオリジナル設定を入れて、
原作を知らない人にも楽しんで貰えたのではないかと思います。
 東方は弾幕シューティングですがその二次創作の幅は留まるところを知りません。
背景設定の深さを生かし切れず最後まで何の花も咲かせなかった文もありますが原作設定を
全部生かそうとすれば文庫本サイズのエネルギーが要るのかもしれない。
人物描写や風景描写も言葉だけで伝えるのは難しいね。量で押すにも長くなりすぎる。
シリコンに字数制限は無いけどやっぱり読みやすい長さってあるんだと思います。
 ところで霖之助は公式キャラデザのある唯一の男キャラと言っても過言じゃなく、
論理的な思考が得意でひねくれ者でどこか厭世じみた性格は感情移入が容易です。
もしもまた東方二次創作を出すことがあれば香霖堂が舞台になるかも?
あわよくば積極的に原作を布教していきたい(ぉ

 ところで昨今の同人ショップでは急激に売り場面積を増やす東方の台頭勢力が出ています。
そう、艦隊これくしょんですね。
艦これやってない時期は「大した深みも持たぬくせに萌絵だけで拡大したソシャゲ如きが!」
と息巻いておりましたが、東方も出来る重婚提督の友人を持ち、「やった事も無いのに批判を
するのも筋が通らないな」という理由で提督業に着任しました。
ゲームを理解した上でボロクソに叩いてやろうと思った当初とは裏腹に、当の友人から
艦これの魅力を語られる内に、これは安易な量産型擬人化ゲーではないなと感じ始めます。
一見簡単なようで複雑な内部パラメータ。一部史実に基づいた艦娘の性格や装備。
ミイラ取りがミイラになるとはまさにこの事。
今では司令部Lv90超えの立派な司令官になっておりました。
ゲームジャンルが戦記モノにありがちなRTSではなく取っ付き易いSLGだった事も成功の一因でしょう。

 ジャンルも歴史も展開形態の全く異なる両者がオタク界隈の双璧となっているのは何故なのだろう。
その理由は両者の共通点にあると思います。つまりは二次創作の増える条件。
面倒なので箇条書きにしてしまうと
・登場キャラが多い、キャラそれぞれに個性がある
・完結しない、曖昧に終わる
・元ネタが存在する
というところでしょうか。キャラが多ければ1人くらいは好みのキャラが見つかります。
血液型の性格診断で特徴が大量併記されていれば一つくらい当てはまるアレです。
でも物語は完結しない。作品や配信が終了していないという意味ではなくて曖昧にぼかされた
設定や伏線を残したままいつになってもその事に関する公式アナウンスが来ない。
それはファンの想像力を引き立てて、様々なエンディングが生まれる種となる。
じゃあ後日談を作りたいと思うファンはどうするか?既存の作品からキャラの思考や口調を
掌握するでしょう。しかしキャラになりきっても自作物語の種がまだ無い。
そこで元ネタを漁る。ゲーム元の史実であってもファンにとってはキャラその人と扱いは
何ら変わりない。そこで原作に無かった付加知識と物語の種が見つかるのです。

 物語はストーリーこそが大事だと昔は思ってました。広大な世界観、詳細な描写、予測できない結末。
ストーリーの優れた作品として僕は鋼の錬金術師とコードギアスを挙げます。
でも彼らの二次創作物発行数はどうでしょうか?完結直後をピークに減少の一途を辿っています。
悲願達成、敵組織の壊滅、主人公の死亡…
それらは美しく見事な完結ですが。見事過ぎます。抗争を経て得た平和は変化がありません。
平和がこのまま続いていく予感で締めくくられる事はファンの満足感を得ても創作心は刺激しません。
時とともに印象が薄まってしまいます。

 ファンが自分たちで遊べる余白が存在すること。

それがジャンルを超えた人気作品の秘訣なのかなと思います。


3walkin walkin around head / pinkie 15点 (ACE獲得数: 1)
【コメント】
・衝動と行動の先には何があるんでしょうね。肥大化した意識はどこにいくんでしょうね。
・最後に直接語りかけてくること多いよね、と思ったけどそうでもなかった。猫がすごくいい。 - らいむ
・「化学物質で飛ばした意識は?」のくだりがお気に入り - xnu!7
・ラリってんなー。繰り返し方やら猫の使い方やら、技巧を感じる。前の区切りの最終行を終盤で集めたときはわかってるなと思った。 - Mr.SPERMA


2リナリの見せる夢 / 言無人夢 16点 (ACE獲得数: 2)
【コメント】
・圧倒的な文章構成力。彼の春は過ぎ去ってしまった夢にしかないのだろうか。
・ストーリーのまとまりと魅せ方が本当にうまい - xnu!7
・「あんま春じゃなくね?」と思ったけど、『春樹』という意味だったら?と思うとしっくりくる。もしそうならやられたなぁという感じだ。あと「かわいくない女の子」って逆にかわいいと思う。 - Mr.SPERMA
・名前をわざわざ考えたのかなー。→ググる。→そんなことなかった。→以下略 - らいむ


1ハルシオン・デイズ / xnu!7 20点 (ACE獲得数: 3)
【コメント】
・ベッドに寝ている人の口に桜餅突っ込むのはやめましょう。危ないです。それはさておき、半ばまでの閉塞感とどんでん返し後の爽やかな読後感がすごく印象的な話だった。
・未体験の恐怖、それも見慣れた美しいはずの光景が恐怖に変わる!ってなベタな感じだが、その表現は珠玉だね。無慈悲で得体のしれない桜の存在感がたまらん。 - Mr.SPERMA
・桜餅美味しいよね。葉っぱは結局食べるもんなのかな? - らいむ
・ハルシオンが春とかかっていることは本人から聞いて知りました。 - 淫卵

【あとがき】
 春どころかもう夏ですよね。こんにちはxnu!7です。読んでくれてありがとう。
 来ましたよxnu!7節が。テーマをそのまま使わないひねくれ節が。
 春と聞いてまず浮かぶのは季節の春、恋の春、すなわち「始まり」のイメージ。だったら春で「終わり」を書けば面白いじゃない、というのが今回のモチーフです。
 ハルシオン・デイズというのは「穏やかな日々」「平穏な時代」を意味する言葉ですが、ハルシオンという名前の睡眠導入剤があるらしく、それとリンクさせて夢を表すみたいなのが流行みたいです。
 最初は桜の木の下になんか埋めようと思ったけどかぶると思って止めました。案の定かぶる所でした。危ない危ない。
 昔は設定を全部小説の中で書いて詰め込んでいたのですが、最近はあえて全部書かないことで読者の想像に任せています。というのは嘘で、単に労力をかけられていないだけです。でも今のもアリだと思っています。
 ただ今も昔も変わっていないのは最後の言葉の余韻を重視している点でしょうか。最後の一行を読み終わった後の余韻は、そのまま面白さに直結すると思っているので、どんなに時間がなくてもそこだけはちゃんと考えています。マイコン部時代の小説が「?気がした」で終わっているのも(通称「気がしたEND」)、あの時なりに読後感を頑張ったからです。ただその余韻というのも納得がいくかどうかはその時の気分次第なので、後から読み返して後悔することがあったりなかったり。
 ではこのへんで終わります。次のテーマは分かりませんが、次回もよろしくお願いします。

【発表後コメント】
・実に3年2ヶ月ぶりの返り咲き。おめでとうございます! - Mr.SPERMA
・ありがとう! 真冬の蝉以来……長かった - xnu!7


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