わたしは親に売られました。
 借金のかたに仕方がなく娘を売る、そんな時代劇みたいなものではありません。お父さんは完全に金目当てでした。
 わたしは夜のお店に売られました。お客さんはほとんどが中年の男性。わたしは従業員の手によりお化粧を施されお客さんのもとへと向かいます。
 今日のお相手は40代後半くらいのおじさんでした。顔つきがいかにもいやらしいです。たぶん会社で女子社員のお尻を触ったりするような変態さんです。でも、欲求をお店で解消しようとするのはいいですね。そういう人がいるから私も仕事をしていられます。

 わたしはおじさんの前に座ります。服は着ていません。薄茶色のバスタオル一枚をからだに巻いているだけです。香水は柑橘系のもの。仕事を終えると、どうしてもあの嫌な臭いが残りますから、多少香りが強い柑橘系が好まれます。
 わたしと一緒に働く他の子と違って、わたしはあまりお客さんへの奉仕はしません。何も言わずに、ただなすがままに。そこがわたしの「売り」なんだそうです。
 おじさんが手に持つ細長い棒がわたしのなかに入ります。ついつい声が出そうになりますが我慢。この仕事も慣れたので、もう痛みはありません。気持ちいいだけ。最初はとても痛かったんですけどね。「血が出たりするとお客さんから苦情が出るから」なんて理由で店の人に道具を使って弄ばれたのはあまりいい思い出ではないです。
 おじさんが棒を引き抜きました。うっすらと先端に液体がついています。
「おいおい、汁があふれてるじゃないか」おじさんは目を細め、口元を緩ませます。
「なかなかの上物だ…いただくことにするかな」どうやらもう我慢できいようです。今日のお客さんはせっかちです。

 そのあとは言うまでもないでしょう。
 
 そうして、おじさんは唐揚げを堪能し、お金を払って居酒屋から去ったのでした。


トップに戻る