日曜日の夜。
ぼくは寝巻き姿で微睡みに落ちて。
不思議な夢を見たんだ。


ぼくは人間じゃ無くて、鳥にもなれなくて。
空に浮かびながらただ、夜を辿ってた。
てく、てく、てく。


ぼくの見たお月様はお月様じゃなかった。
ウサギが元気に泳いでたから。
楽しそうだから、ちょっと彼らと遊んでった。
ぺた、ぺた。
重力が小ちゃいから、お餅をつくのも簡単さ。


星々は願いをうけて、思い思いの色に光ってる。
ふわり、ふわり。
白い星はうれしくて、青い星はかなしくて、赤い星はおこってる。
みんなみんな、綺麗だ。
北斗七星みっけ。


ぽっかりひらいた空の穴には、ぶあつい入道雲が広がってる。
もくもく、ぼくは食べられちゃいそう。
夜の雲はまっくろく見えるのかな、なにも見えないのかな。
ふわふわ、かわいそう。
だいじょうぶ、ちゃんと見つけたよ。


ちょっと疲れたから、あまのがわでひとやすみ。
波にたゆたうお城。
波にゆらめくゆりかご。
かぁーん……
どこかで、鐘がなった。
こころが安らぐような、沈むような。

胸が、いっぱいになった。

ぽろり。
お月さまのさえぎった涙のあとには。
きらり。
ひとすじのながれぼし。
かちり。
そこをしずかに刻んでいって。
ふわり。
ぼくはぐんぐん沈んでいって。


とおいそらは色あざやかになって。
どんどん、はなれていっちゃう。
ほし。うみ。つき。かわ。
ゆめ。いろ。はね。とり。
しろ。あお。きん。ぎん。


もうにどとこないふしぎなじかん。
また、きたらいいな。
ゆめはいつも、ここにあるから。
そんなこえがした。




月曜日の朝。
ぼくは寝坊した。

突き抜けるほどの青い空の下、ぼくは寝巻きを干した。
布の切れ間からは、夢のぼくが微笑んでいた。


ぼくらは、どこにもいない。


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