理想のキャンパスライフとは全く違う1年生の前期だった
幻想を抱いることは自覚していたし、現実は甘くないと言い聞かせていた
だが、友達はサークルの数人、クラスの集まりに全く呼ばれないのは想像を超えていた
結局何もないまま後期の授業も始まってしまった
その日も俺は一番後ろの3人がけの席に1人座って授業を聞いていた
教室を見渡すと俺みたいに板書を取っている奴もいれば、友達同士で座って喋ってる奴もいる
授業も終わりかけになって突然、背後からガチャという音がした
振り向くと一人の女性が立っていた
女性にしては背が高く、ナチュラルな金髪に整った顔立ちだった
どう見ても日本人ではない
彼女は息を切らせながら教室に入り、一番後ろの空いている席、つまり俺の隣に座った
俺は全く気にかけないフリをしつつも緊張せずにはいられなかった
しかし、授業はすぐ終わり、彼女は教授の元へと駆け寄っていった
近くのDQN達もその娘に勿論気づいていた
「ねぇ、あの娘誰?」
「え?なんか今週から留学生が来るって噂だったからその娘じゃない?めっちゃ可愛いよな…たまにはあんな娘とヤりてえなぁ」
DQNだけあって感想は気持ち悪いが留学生であることが分かったのは有り難い
これはチャンスかもしれない
今までの自分から変われるかもしれない
外国人なら日本人と価値観が違って、俺みたいなコミュ障でも友達に、いや彼女になってくれるかもしれない
だがその前に彼女と会話できるようにならないといけない
英語力は人並みにあるが、それを喋ることはできない
俺はスピードラーニングで必死に鍛えた
留学生となるとあまり時間がないかもしれない
自信はないが、早く話しかけるしかない
1ヶ月後、初めて彼女と会った授業が終わった後彼女に話しかけた
「H…Hello, I'm… 」
「あの…日本語でいいですよ。で、何ですか?」
「あ、あ、あ、な、何でも無いです。すいません」
終わった
後から知った話だが、彼女はフランス人で英語は話せないらしい
そして既に日本人の彼氏がいるとか
所詮高望みだった
日本人とすら会話できない俺には何も出来ないに決まっている
そうだ、今日は洋モノで抜こう
それも飛びっきりハードなもので
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