手元にあった大きめのぬいぐるみを右手と左手に持って気取った声で、
「一人暮らしの境地!一人二役の一人ぼっちが行く!エントリーナンバー31番、アボッチ!!」
口で効果音タタタータッタータタッ、ドゥーーン!
右手&左手「はいどうもーアボッチです」
左手「こんばんはー」
右手「ちょっとちょっと!」
左手「うん?どうかしたの」
右手「こんばんわって夜かどうかわからないじゃない」
左手「あーそう?じゃーおはこんにちばんわー」
右手「はいどうもー仕切りなおしていきたいと思います」
左手「いいんだ!今のでいいんだ…」
右手「ん?」
左手「なんでもないなんでもない。さてさてはじめまして私がボケの左手で、」
右手「こんばんわ、ツッコミの右手です」
左手「ちょちょちょ、ちょっと!」
右手「ん?」
左手「ん?じゃなくてそこは本当は私がボケですって言いなさいよ!」
右手「あー左手がボケって言ったから私がツッコミなのかなーって思ったの」
左手「違いますよ!あたしがツッコミであんたがボケ。わかった?台本通りにやって下さいよ、もう」
右手「ボケでーす」
左手「はいはい。それであんた、」
右手「なに?」
左手「他人に夜かどうかわからないとか言ってたのに自分もこんばんわって言いましたよね」
右手「そうだっけ?」
左手「言いましたよ」
右手「うーん。でもおはこんにちばんわはダサいしー」
左手「おい!ダサいとか言うならなんで最初流したよ?!」
右手「めんどくさいもーん」
左手「あーそーですかー。ならどういうあいさつがいいと思うんですか?」
右手「こにゃにゃちわー」
左手「古っ!古いわ!」
右手「でもこんにちわだからどの時間帯でも結構大丈夫だよ」
左手「そうかもしれないけど古いよ、ダサいよ?」
右手「ダサくないって!ケロちゃんが使ってたの可愛いかったもん!」
左手「いやいやそれはケロちゃんが可愛いだけだから!しかもそれ元々バカボンだし」
右手「えっそうなの!?」
左手「知らなかったんかい!」
右手「えーならーオッハー?」
左手「だから古いって!確かに少し現代に近付いたけど!」
右手「マヨチュチュッ☆」
左手「そんな星が付きそうに言ってもダサいもんはダサいです!」
右手「もーわがままなんだからぁ」
左手「わがままって!別にわがままじゃないでしょう」
右手「そんな言うなら左手はなんかあるの?」
左手「えっあたし?うーんと…」
右手「人には言うくせにー」
左手「えっと…こんばんわに!」
右手「えー…」
左手「な、何よ!あんたよりは新しいでしょ」
右手「もうすぐ二周年だけどね」
左手「おーい!二周年って言うなよ祝い事みたいでしょー」
右手「そう?でもさそれも夜限定だよね」
左手「うっ、それもそうね」
右手「というかやっぱりパクリはダメじゃない?」
左手「あんたが言う?!どの口が言うんだか全くー、まあいいわ。なんかあるの?あんた」
右手「よくぞ聞いてくれました!」
左手「う、うん…?」
右手「トゥース!」
左手「バカヤロー!それもパクリだし!少し古いし!もはやあいさつなのかもわかんないし!」
右手「トゥットゥルー☆」
左手「もうすぐ映画だからね、ってそうじゃないでしょ!一体いつになったらまともなあいさつが出来るのよ…」
右手「今でしょ!」
左手「いい加減にしろっ!」
右手&左手「どうもーありがとうございましたっ」
……ぬいぐるみを置いて一人ため息をつく。
「ああ今日も寂しいなあ………………誰かとあいさつでいいからしたいよホント」
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