4位 彼女のログ / Mr.SPERMA 7点(ACE1)
・ストーカー要素があることを先に聞いてしまっていたので、聞いてない方が楽しめたと思うので少し悔しい。余談ですが冒頭のイマイチがイチモツに見えてしまった。
・小物や地名などのリアリティとどことなく感じる不気味さが後半にて伏線回収されていくとなるほどという気持ちと怖さに変わる作品。迷子とは対照的に現代の「地図」をうまく使ってるなあと思いました。オチを少し聞いていたので全く知らずに読んでいたら初めて読んだときの感覚は変わっていたかも?握り飯のくだりは笑った。
・途中に挟まれる日記の使い方が上手い。最初の方で「女子学生ってこんな説明口調の長文投稿するかなあ」と思ってたら最後に見事に騙された。
[あとがき]
ミルクチョコムース~日向夏~は食べてないです。
ジャルジャルタワーは見てます。

地図に関するネタは道満晴明の短編漫画『迷子のチーコ』の印象が強すぎてそこからなかなか脱せなかったので難儀しました。
どこに行くにも道に迷い、常に地図を持ち歩いている少女の話で、『ニッケルオデオン【青】』という短編集に載ってます(【青】の表紙を飾ってるのがちょうどチーコですね)。超おすすめ。【赤】【緑】【青】の順に買おう!そしてメランコリアも買おう!


3位 インサニティ / 淫卵 9点
・オチが少し弱かったかなって
・短くも強烈に後味の悪さを残してくるホラー。世にも奇妙な物語っぽさを感じつつ、ああシリコンだなと思いました。この作品が最後に来てしまうところまで含めて(笑) よく、人は遠くの地のニュースには共感しないけど身近な人なんかが絡むと急に自分事になるなんて言いいますが、そういうメッセージも込められたりしているのかなと思いました。
・簡潔で起承転結もしっかりしててとても読みやすい。書き手がビビらせたいだろうなと思ってるところでビビってしまったので、読み終わった後清々しさすら感じた。
・もしやラストにクソヘビーな作品を持ってくるのがクセになってらっしゃる?
[あとがき]
事故物件サイトは知ってる方もいると思いますが実際にあります。
少し前は官報に掲載された自己破産者をまとめた破産者MAPなんかも話題になりましたね。
悪趣味なサイトだとは思いますがついつい覗いてしまいます。

さて、もっと楽しい話を書くはずが短くまとめるために嫌な話になってしまいました。
たまには自分らしくない作品を書いてみたいなと思うものの、自分らしさがよくわからないので迷走してます。
誰か私が何者かを教えてください。
そしてわたしをあいしてください。
ついしん。どーかついでがあったら、うらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやってください。


2位 迷子 / xnu!7 11点(ACE2)
・このクソ暑い夏の中読むのにふさわしいひと夏の思い出。交換したマップルに連絡先が書いてあるとかベタなことは起きないけど、主人公の心の中に息づいているバランス感が良いですね。
・昨今のシリコンには珍しく(と言っていいのか?)、『若さ』を感じる作品ですね。他の3つがどこかしらダークな要素をはらんでるので、この作品が清涼剤になってる。
・夏の青空が常に想起された清涼感溢れる作品でした。この作品の順番が最後だったら今回全体の読み味がどれだけ変わっていたのだろうかとはおもわずにはいられない。マップルってなんだろうと思ってググりました。紙のガイドブックたまに手にするとなんかいいなって感じる時があります。ガラケーではなくスマホを手にした今の大西さんと再会した河本の新たな物語がこの後はじまったりするのだろうかと妄想
・良くまとまってるいい短編だった
[あとがき]
 長かった梅雨が明けました。こんばんはxnu!7です。読んでくれてありがとう。
 なんかこういう良い意味で何のひねりもない「いい感じの雰囲気」の作品を書いたのは久々な気がします。それこそ第一期シリコン以来でしょうか。
 「地図」というテーマを聞いて真っ先に思い出したのは、高2の頃の見学会で東京に行った時のことです。見学会が終わって羽田空港に帰るときに新宿で1回、秋葉原で1回、東京モノレールの駅付近で1回と計3回迷子になりました。当時はスマホなんてテクノロジーはなかったので、ただひたすら地図とにらめっこして命からがら空港までたどり着きましたね。まっすぐ進んで線路に当たったらそれをたどって駅に行く、はその時使った解決法です。もちろん小説と違って最初から最後まで1人だったんですけど。
 そういう「都会で迷子になる」という舞台設定は早い段階で出来ていたのですが、今回もオチが中々思いつかず。後から考えればいいかーと頭を空っぽにして書き進めたら、幸いにも終盤の方でパッと浮かんだセリフからオチを思いついて無事ねじ込むことが出来ました。キャラクターが動き出してきて頭の中でイメージ出来るようになると、その人達にふさわしい終わり方というのが自然に出てきますよね。
 前回のあとがきに書いたような読者に傷跡を残す作品は書けませんでしたが、純粋に読後感がすっきりした作品になった気がするので、今回はいつになく満足しています。
 次のテーマは「化粧」でしたね。難しいテーマですが、なんとかいい話を書きたいものです。次回もよろしくお願いします。


1位 道の先へ / らいむ 12点(ACE3)
・地図という題に綺麗に答えた作品。ニンゲンの気付く場面がもう少し印象的だと良かったかなと思った。
・地図というお題に対して最も真摯に向き合ってるのがこの作品かな。でも『埋められた穴』などのちりばめられたであろう細かい要素の意味が、読んだだけではわからずじまいなのが勿体ない。
・幻想的な雰囲気でよかった
・ナンセンスな表現が良い
・「埋められた穴」「緊急避難所」といった名前のセンスがとってもいい。寓話チックな話と相まって面白く読み進められた。
[あとがき]
こにゃにゃちは~らいむです。作者はすぐ分かったのではないのでしょうか?読んでくださった方ありがとううございます。ちょっと長くて3番手。それなりに読み応えあったでしょうか?
今回は早めに提出することもできず、久しぶりに〆切を延ばしに延ばさせるということをしてしまいました。
ごめんなさい。でも待ってもらったおかげもあってなんとか書き終えました。連続投稿が途切れなくてよかったです。
この作品は地図というテーマから変わった地名をあれこれ考えていて、それを旅をするような話にしたくて書きました。<道なき道>という道があったら面白いなって思ったのが始まりだったと思います。
他にはGoogleMapを表示して自分やみんなの過去作品が日本地図上で表示されるページを作る、みたいなな案もあったのですが技術力足りず実現には至りませんでした。ただ旅行記を書くのもたまにはいいなと思ったけどコロナが…。

さて、この「道の先へ」はさっきも言ったように地名からのスタートでして、普段のようにお話の筋やキャラが全然作られないまま地名のストックだけが溜まって〆切間近までいきました。そこからどんな話にするのかが全然おもいつかず苦戦も苦戦を強いられました。
各地名になんか含みを持たせていくという案は漠然ともっていましたが、書き始めてから勢いでつけ足したり変えたりしたので色々解釈したいようにしていただけたらと思います。締め切り前に急ぎすぎて設定ファイルを消してしまって自分でも思い出せないのが一部あったりします(笑)
辻さんは ち ず を一文字づつ前後にずらして<地図>の表裏一体となるような存在として考えて生まれたのですが、最後に辻斬りみたいなことしたり辻(十字路)にかけたりと結局いつものような遊びに遊んだネーミングとなってしまったのが自分でも予想外で面白かったです。ニンゲンはキャラだけど特定の誰かでもないような感じにするという名前ない?って相談したときにもっくりから貰った案でした。終始最後まで<固有名詞>を持ったモノが何も出てこない作品にしたかったのでそれは出来たかなと満足しています。ゴールドさんは唯一、無詠唱と絡めて”沈黙は金”から付けたので、名前らしい名前を持っているとも言えるかもしれません。
追い込まれてから道と未知の言葉遊びや最後の<地図>のオチが生まれました。やはり追い込みは追い込みで奇跡的な思考回路の連鎖が起きたりするのでたまにはいいですね。〆切には間に合わせなきゃとはもちろん反省していますが。テーマ発表後くらいの古い設定ではまだ地図を破り捨てることくらいしかオチになかったので本当に想定してたものと変わったなあとメモ帳見ながら今しみじみとしています。後半が急ぎ足になって雑だったのでいつか丁寧に書き足したいなと考えています。記号もちょっと使いすぎたかなと反省しています。設定は本当気に入っているので、リメイクの際はもっともっと地名を増やしてみたいです。そういえば地図と合わせてコンパスも出したかったです(強いて言うならそれが辻さんポジションでは?)コンパスさんでもよかったな(今さら)。
読んでくださったみなさん、一番気に入った<地名>があったらぜひ教えてくださいね。私の一番のお気に入りはもちろん<道なき道>ですが、今回出せなかった能力の一つで一度行ったところの地図を作る能力<高々異能>もお気に入りです。はい、しょうもないです。
それではまた次回お会いしましょう。次は〆切を守るよ!(目標)


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