5位 夢見る乙女と裏の顔 / 卑猥本 6点(ACE1)
・垢抜けない彼らなのに語り口は軽妙洒脱というのがまたおかしい。
・※この作品は実在の人物・団体等とは一切関係ありません。 しかし、地味に俺が正直羨ましいと思ってしまうシチュエーションでむかついた。
・面白かった。『理想』の解釈としてはこの『相手の都合にマッチする』というのが一番しっくりきたかな。今永くんの直接のセリフはほとんどなく、主人公視点の地の文とツイートだけでひととなりを表現する演出がニクい。本物の『今永くん』もそれくらいはやりそうだな、というのも含めてニヤリとしました。
・途中までかなり重い恋をしていたのにオチがとても綺麗。まさかと思ってTwitterのID名で検索をかけたが無事ヒットしなかった。両思いの61期生は実在しなかったようだ、良かった良かった。
4位 もし世界が100人の俺の『理想のヒロイン』だったら -10 years after- / 淫卵 8点(ACE1)
・相変わらず嫌味のない自嘲が上手くて惚れ惚れする。ツンデレは死滅したのに足コキ勢はちょっと生き残っててワロタ
・0人と明記されているAカップのために泣いた。10年間で変わってしまったものと変わらないものを教えてくれ、読後には今から10年後に目を向けさせてくれる作品
・タイムリープしたらおもしろそうだなと思った。すーえ??
・分かっていても爆笑してしまった。10年前と比較できるのがズルい。「10年経って自分たちはどう変わったのか」という理想のヒロインの裏テーマをこれ以上ないほど綺麗に消化している。
3位 Realizer / 夢野言乃葉 10点(ACE1)
・世界観と文体がマッチしていて演出力の高さを感じた。ちょっと冗長に感じてしまう部分はあったけど面白かった。
・おもしろそうな設定だけどちょっとむつかしかったな!
・優しい雰囲気が心地良い。
・世界観の構築とキャラクター作り、あとユメのセンスが素晴らしい。洗濯機のマーメイドは脳内にリアルなイメージが浮かび上がったし、序盤に出てきた意味が分からない人体模型君(AED持参)も最後の方には愛らしさすら覚えた。
・映画のような世界観の構築が凄い。幻想的な風景が頭に浮かんでくる。ユメという存在が『役目を果たすための道具』ではなく、千兵衛博士の発明品のように制御不能で、どこか情緒があって、とらえどころのないナミのキャラクターともマッチしていて良かった。
[あとがき]
はいどうも、最近は遅ればせながら音響業界のAI技術に驚嘆させられる機会の多い夢野言乃葉でございます。いや凄い、うん。もっと早く触れたかった。HPLでの3次元立体音響モデリング、zynaptiqの謎の技術etc……さらに手頃な価格で流布して欲しいと願う我儘な一消費者になってしまうくらいには面白いです。
さて、猫科獣人型ヒューマノイド百合SF『Realizer -ユメ見る惑星より愛を込めて-』、楽しんでいただけましたでしょうか?楽しんで頂けなかった方はそれもいいと思います。まだ人類には猫科獣人型ヒューマノイド百合SF(気に入っている)は早かったかもしれません。まぁ何にせよ、読んでいただきありがとうございます。
長かったでしょう?自覚のある私は読者の皆さんにとても感謝しております。いや、ね?結構時間作るの難しいお年頃になって来てるのは分かるからね。自分もそうだし。ただ、少なくとも読むのに割く時間以上のモノは提供したと勝手に自負しております。ま、面白いかどうかはそれとは別の話なのですが……楽しんで頂けたのなら幸いでございます。
願わくば、最愛なる読者が、素敵なユメを見れんことを。それでは。
はい!言わなきゃいけないことはこれで全部!ここからは好き勝手喋らせてもらおう。なんならこのあとがきを書くために本編を書き上げたかもしれない私の感情イコライザーはフルテンだ。聞きたくない?ブラウザバックしても大丈夫!伝えておきたい事は既に伝えてあるのだから。貴方にはぼぶにゃ……ちげぇ、夢野言乃葉の戯言を聞かないで済む権利がある。頼むから、ここから先の文字列は自己責任で読んでおくれ。
とまぁここまで断りを入れておいて、喋りたいのは作品に関する事だったりしない事だったりするのですが、まずは皆さんお久しぶり。ごきげんよう。元気してた?私は色々ありました。うん、色々……ね。皆さんが元気なら、あるいは元気でなくともそれでいいなら、良いと思います。良いかどうかは私の決めることでは無いのですけれど。これが色々あった末に辿り着いた一種の悟りみたいなものです。因みに私はすこぶる元気です。
「あの、嘘つくのやめてもらっていいですか?」
はい、ヒロユキに指摘されました。嘘です。この二週間ほど、原稿を書くために夜勤の仮眠時間を全て執筆に充てたり、その他諸々パワープレイで時間を作った結果、ここで死ぬかもしれないと思うような地獄の日々を過ごしていました。
そんな私が元気な訳なかろう。ふざけるのも大概にしろ。私の中のヒロユキも顔真っ赤だよ。よく言ったヒロユキ。そういうハッキリとした物言いが気持ち悪い取り巻きにウケるんだろうな。
「あの、平仮名にしてもらってもいいですか?」
はぁぁぁぁぁん??ぶち殺〇ぞてめぇ????なんだ?顔真っ赤ってそっちか??そっちに怒ってたのか???お前は体のいいマジレスだけしとけばいいんだよ!!!!一端のエンターテイナーぶるんじゃねぇ!!!!!大体ひろゆきはそんなこと言わねぇ!!!!!!!
おほん。失礼。脱稿で出まくるアドレナリンがエナドリで加速されてもう自分でも止められねぇんだ。すまん。ちょっと落ち着かせよう。すぐ〇ねって言うのやめた方がいいってこの前反省したばっかりじゃん。それに多分ひろゆきはエンタメだよ……多分ね。さて、休憩がてら珈琲飲みながらひろゆきエピソードでも語ろうか。もしひろゆきのファンないし関係者が居たら即刻ブラウザバックをお願いします。
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『鋼鉄のトライアングル ?私とひろゆきと時々google?』
私とひろゆきの出会いは三ヶ月ほど前のことだった。
先に言っておく。私自身はぶっちゃけひろゆきは好きでも嫌いでもない。普通。ひろゆきへの興味はTwitterに流れてくる猫の癒し系動画の100万分の1くらい。つまりカス。いや、ひろゆきじゃなくてひろゆきへの興味がね?ひろゆきって連呼すると読みづれぇんだよカタカナにしろ。こなゆきかよ。
そんな読みづらい[ひろゆき]と出会ったのは約三ヶ月ほど前。なんか【ひろゆき】ってヤベー奴(この時点では言い逃れも出来ないド偏見である)がネットで人気だと知り、いっちょ見てみるかってYouTubeを覗いてみたわけ。動画を二つほど、それと《ひろゆき》関連のネット記事を三つほどね?
その時の感想としてはただのマジレス(決してアカデミックな意味ではない)おじさんだったんだよ。案外普通じゃん?って(日露雪が正しい事を言っていると肯定しているわけでは決してない)。マジレスは好きな方だしね。
でもその取り巻きのキモさが半端なくてゲロ吐きそうだったわけ。〈へろゆき〉の言葉をまるで何にでも効く必殺技みたいに横Bしてくる奴らね。脳死安定行動だと信じて振ってくる感じのね(ヒロユキッ!)。そんな自分のことを人間だと信じてやまない猿が世の多数派を占めてるような気がしながらマックのポテトを頬張ってたわけよ。死〇でくんねぇかなって。ヒロユキッ!間違えて横B出ちまったよ。いっその事殺〇てやりてぇなって。嗚呼耐えられない。『オレはジョーカー……』
「嘘つくのやめてもらっていいですか?貴方ジョーカーじゃないですよね?」
そう!それだよ卍ひろゆき卍!その使い方!マジレスなんてそんな感じが一番いいんだよ!!やるじゃん火炉油木!ちょっと見直したよ!
おほん。そんでそれ以降は{ひろゆき}に関しては一切情報を入れなかった。うん。正直時間をドブに捨ててる気がしたからね、うん。
話は変わって半年前ぐらいから新しく始めたことがありまして。googleのwebトラッキングをある程度積極的に許可し始めたんだよね。『情報取るだけ取ってどうせ還元してくんねぇんだろ?』って偏見を捨てようと思ってね?そしたらスマホのChromeのトップ画面に割と高精度で気になる情報が出てきてくれるようになりまして(discoverってやつね。本人もよく分かってない機能なんだけどね)。これは良い!中々やるじゃんgoogle!嗚呼素晴らしきビックデータ情報社会!意味もなくとりあえず集められた情報群も使い方次第!って喜んでたんだよね。
そう、地獄のような日々が始まるまでは……。
まぁ聡明な読者の皆様は既に冊子が付いているであろうが(おまけの小冊子を付けるな)、案の定googleがね?出してくるわけですよ……名前を言ってはいけないあの人をね?せいぜい10回ぐらいしか関連するページをクリックしてないのにね?さも『お前はこれが知りたいんだろ?知ってるんだぜ俺は(ドヤっ)。素直になれよ(イケボ)』ってね?
ふっざけんじゃねぇよgoogle!!なんで音楽、映画、ミリタリー、漫画、アニメ、つけ麺、肉の最新情報が並ぶ中にアイツがぁ!HIROYUKIが居座ってんだよ!!!好きでもなんでもねぇよ!Chrome……なんでお前までヒロユキッ!してくるんだよ!!!!
しかも絶対1個だけ仕込んでくんの。リストが更新される度に1ヒロユキッ!絶対ぶっ込んでくんの。横Bちょっと丁寧にしつこく出してくんのよ。ん???(悩んだ末の)ヒロユキッ!って。若干脳死じゃない感じで。『君、今横B忘れてたよね』って。こっちの甘い立ち回り咎める感じでヒロユキッ!してくんの。リストの下の方にヒロユキッ!持ってくるんだよ。おっ、今回は大丈夫そ……ヒロユキッ!ってな具合に。画面スクロールするのが嫌になってくるレベルで。
さらに最悪なことに中々記憶から消してくれねぇんだ、うん。googleもヒロユキッ!という脳死安定行動に毒されちまった。しつこく繰り返されるヒロユキッ!。毎日毎日Chrome開く度にヒロユキッ!。ヒロユキッ!……ヒロユキッ!……。
ひろぉぉぉぉぉゆきぃぃぃぃ♪
レミオロメンかよお前は!ヘビロテしてくんじゃねぇよ!!顧客が求めてるのはクソみてぇな味付けのヒットチャートひたすら流してる親の車じゃねぇんだよ!!!いいんだよ無理して流行に乗らなくて!一生尾崎豊聴いてる方がまだマシだよ!!
そんなこんなで親に勝手に自分の部屋に余計なもん置かれた思春期のガキんちょの気分を2ヶ月ほど味わいました。いや?ほんとさぁ。2ヶ月は長すぎ、うん。流石にキレた。まぁ今でもたまにヒロユキッ!って小冊子付けてくんだけどさ。いい加減にしろgoogle。何でもかんでもユーザーがOK!google!って言うと思うなよ?1から10までオッケーじゃねぇよ。お前のそれは老婆心なんだよ。意味をググれカス。
てかそのせいで気付いた事がひとつあって、≡(((卍ひろゆき卍)))≡が私の嫌いな義兄に顔似てんだよ。素っ頓狂な出来損ないのマジレス(それはもうマジレスではなくただの都合の良い思い込みである)してドヤ顔してる義兄に。もう嫌いだよヒロユキ。ごめんな……恨むなら義兄ではなく親を恨んでくれ……お前の敗因は顔だ。人は時に合理性や論理性を無視する傲慢な生き物なんだ。大体の人間の好き嫌いの理由は『生理的にムリ』なんだ。お前は顔がムリ。因みに義姉は顔が好き。じゃあなヒロユキッ!。この話はおしまい!皆読んでくれてありがとう。
さて私は何回ひろゆきと言ったでしょう?
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はい。そろそろ真面目にやらないとモラルもクソもない狂人だと思われそうなのでサイコライザーを切ります。
さて、テーマが『理想のヒロユキ』ならば間違いなくトップを狙えるような駄文を書き散らしたのはワケがあります。今回はこれくらいのテンションで書いたんです。それを分かって欲しかった、うん。それを伝えたかったんだ。付き合ってくれてありがとう。ちょっと落ち着くために日を跨いで続きを書くよ。
?数日後?
ヨシっ!大分気分も落ち着きました。続けていきましょう。
今回、久しぶりのシリコンへの参加だったんですが、その理由からペラペラと語っていきたいと思います。
それはあるシリコン参加者から話を聞いていた時だった。皆の筆の取り方とか変遷とかなんやかんやとか聞いてる中で、一つ私の気を強くひいた話があった。曰く、シリコン初回のあのテーマがもう一度選ばれた、と。
『理想のヒロイン』
ぶっちゃけるとテーマ自体には思い入れは無いのですが(コンパスそれ自体に価値が無いように)、これはシリコンの転換期かもしれないという考えが私の頭をよぎった。それはドップラー音を伴いながら私の脳内を回り続け、やがてそれはこの波にとりあえず乗っとけという安直な結論に変わった。まぁ、何か書きたくなったのである。書きたいものがあると言うよりはとりあえず何か作りたいという欲。それを満たすのにシリコンは丁度良かったのだ。
だがやるからには本気で参加者をぶち転がしに……違う、殴り込みに……これも違う、燃やさねばならぬ。うん、これだ。というのも話を聞いてるとシリコンは火を欲しがってるとのこと。創作の原動力が火なのかどうかはさておき、私は情熱の炎を燃やす覚悟を決めた。火は好きだし、燃やすのはもっと好きだ。今のご時世、炎上まで行くのが怖いが、シリコンなら大丈夫だろう。
そういう訳で私はまず二つの試作品を書きながら、シリコンの全ての作品を読んだ。いや、一つ嘘がある。なーたんの作品だけは脱稿した後に読んだ。あの私の大好きな殺傷力の高い作品を読むと、私も血を見たくなる確信があったからだ。あとから読んで良かった。恐らく書ききる前に読んでいたら泣く泣くお蔵入りにした「感情ピーラー」だの「縁切りバサミ」だの「炎上マシーン(物理)」だの夢のないユメ達を嬉々として登場させてしまっていただろう。危ない危ない。なーたんは推しぴであって、私は彼になることは出来ないのだ。狂気じみた正気で物を書くにはブランクがありすぎる。
とまぁ皆さんが歳を重ね落ち着いた雰囲気を出してきてることを何となく理解し、二つのイントロが出来上がったところで作業は難航した。どちらかを選び仕上げる予定が、選べなかったのだ。ひとつは現実で夢を追う二人の女の話。もうひとつは夢をユメにする二人の女の話。ここで私はこれまで貪り血肉にしてきたモノ達を振り返ることにした……いや待て。これ書く労力要るか?なぁ?先長すぎるぞ??理性が戻ってきた、うん。まぁ座談会かなんかでゆっくりみんなで話しましょう。ばいばーい。
2位 Sparking Hero / Mr.SPERMA 11点(ACE2)
・予定調和な感はあるがそれでも「なんだ、やっぱりキミが好きなんじゃん。」みたいなのはいいものだ
・ただただかっこいい。お約束は王道だからこそかっこいいと思わせてくれる作品。あとバスジャック犯の頭がイカレている感がなんか良かった。
・意識してない気もするけど世間的にはタイムリーな設定ですね。こう勇気を振り絞れる人がいないから、ヒーローであり物語になるのだなと。
・レッドのキャラ感が好き。ヒロインって役割じゃなくてヒーローの女版だもんなあ。
[あとがき]
これぞ必要最小限って感じのあっさり味のモノになりましたが、久しぶりに小説らしいもんが書けましたかね。
ストーリーをちゃんと作るというのはやはり苦しいもので、しかしその苦しみに真正面から立ち向かう気持ちがなければいつまでたってもまともな話なんて作れないんだよね。甘えてました。
最後の最後にようやく腹くくりました。待たせて申し訳なかったけどやってよかった。
俺は人物にしろ、物語にしろ、地に足がついたものが好きなので、『理想』というふわふわした概念が非常に厄介物でした。
自分の『好き』を押し通そうとすると『親しみ』が強調され、『理想』のイメージからはどーしても遠ざかってしまうわけです。
なので主人公を役者にして、理想を押しつけられ、ヒーロー(ヒロイン)らしさって何だ?という問いに向き合う話にしました。
ただ今回の主人公は『女性のヒーロー』であって、女性ならではの『ヒロイン』という人物像を表現できたとは言えない気がします。
別の角度からヒロイン性を表現する人物として、(恐らくいるであろう)ピンクも登場させたかった。
他にももっと劇中劇の描写やら人間関係やらあれこれ肉付けできれば良かったんですけどね。
私事ですがこれを書き上げてから数日、何故か左腕の肘が異様に腫れてメチャクチャ痛かったんだよな。腕を粗末に扱ったことへの罰かもしれません。
1位 Snow Leopard / xnu!7 13点(ACE2)
・正直、運命的すぎてついていけない部分もあったが、高城のタダモンではないキャラクター性がバランスを取ってくれたかな。鮮やかなシメ方は流石。検索エンジンって言葉の真意が気になるな。
・一途な女の子の横顔っていいよね。ところで実際のマッチングアプリはマッチング成功させちゃうと退会されるので精度上げるインセンティブがあまりないらしいですね。現実は世知辛い。
・検索エンジンってどういうことだったんだろう。
・めっちゃ好みのラブコメでした。キャラ設定がとても良い。でも高城さんが少し可哀想でした。
[あとがき]
10周年めでたい! こんばんはxnu!7です。読んでくれてありがとう。
突然ですが、10年前に流行った匿名の誰かとお喋りできるチャットツール、皆さん覚えていますか?
答えはChatPad。ここまで来たら勘の良い初期勢の方はお分かりですね。そう今回の作品のモチーフは「匿名マッチングツールをめぐるボーイミーツガール」、すなわち今作は10年前のシリコン初作品『Daydreamy girl』のリライトとなります。
10周年ということで脳みそを高校時代に戻して執筆に臨み、もうお腹いっぱいになるくらい自作品らしい要素を詰め込みました。謎のテクノロジー、言葉遊び、SF(すこしふしぎ)、青臭さ過ぎる青春、そこはかとないご都合主義、お約束の予定調和、エトセトラエトセトラ。あ、いつもの大どんでん返しは入れてないですね。入りきりませんでした。
マッチングアプリを使うことは1ヶ月前以上から決まっていたのですが、マッチングアプリと理想のヒロインって相性悪いんですよね。マッチングしまくりの女性に果たして読者が魅力を感じてくれるのか、という葛藤をずっと抱えていました。アプリで出会った理想のヒロインがどこかの誰かとマッチングしてさよなら、という流れも考えなくもなかったのですが……今作を書くに当たって個人的な目標が1つありまして。それは「結局理想のヒロインなんていなかったんだよ」みたいな虚無的な終わりは避けるというものです。このテーマに再挑戦する以上存在するものとして、きっちり書き切りたかった。なのでマッチングはほどほどに、出会ったヒロインとずっと一緒にいるというストーリーになりました。
さて『Daydreamy girl』の執筆時は「理想のヒロイン」そのものをテーマにすることで理想のヒロインとは何か、という問いから逃げていたように思います。ということで今回10年越しにこのテーマと正面から向き合いました。可愛いだけの女性や捻りの無いラブラブを書いてしまってはただの「理想の彼女」になってしまいかねない。テーマは「理想の彼女」ではなく「理想のヒロイン」。それを考慮した上で理想のヒロインとは一体何なのか。
それにヒントをくれたのがMr.SPERMA作の「Stormbringer」。いくら時間が立ってもディテールを忘れてしまっても、この作品の「ヒロインがめっちゃ格好よかった」という印象だけは薄れない。そんなずっと印象に残るものって何だろうと悩んだ末に出した結論、それは「生き様の美しさ」じゃないかというものでした。ガワではなく、魂が美しいのが理想のヒロインだと。
つまりそれはキャラクターの魅力も意識しなければならないということを意味します。これまで自作品のキャラクターは基本的に演出上の駒に過ぎなかったので、特に思い入れもなく魂もインストールしていませんでした。そして人間関係の描写を減らすため登場人物も最大2名にしてました。今作は制限解除してなんと1.5倍に増加。3キャラ以上の作品を書いたのは実に第1期シリコンぶりになります。各シーンで「コイツは今何を思っているのか」を考えるのは一苦労でした。
以上の色々を詰め込んだのが今回の作品となります。校正が滅茶苦茶大変でしたが、ここ数年で一番書いてて楽しかったので個人的には大大大満足です。みなさんが少しでも楽しんでくれたのなら幸いです。
さて次のテーマは退屈ですね。今回は入れたい要素を全部入れる欲深い執筆だったので、次回はスリムな作品を書きたいと思ってます。それでは次回もよろしくお願いします。
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