7位 夢だけが / Leditem 4点
・最近都会に来た自分にとてもぐさりと来る作品だった。人の夢を見てみたい。自分の夢も忘れる前に保存出来たらと思うことがよくある。
・犬は夢を見て寝ながら足を動かすっていうよね。生物はどのくらい脳が発達したら夢を見始めるんだろう
・始まる前に終わったという印象。混ざった夢が織りなすサイケデリックな世界を見せてほしかったが、時間的にとっとと畳まざるを得なかったのかな。
・「小腸のひだを~」のようなシュルレアルな表現は印象的.「道は、草木は、~、夢を見ない。人間が夢に引きずり出して登場させるのだ。」もまたよい
・他人の思考イメージがごっちゃになる、というアイディアおもしろいね。ところどころ表現がキレーだった。


6位 黒色の白昼夢 / 淫卵 4点(ACE1)
・猫がかわいい、てかみんなかわいい。とても優しい雰囲気のピュアなストーリーに癒された。この作品が最初であったことにただただ感謝。
・ささやかでいいかんじ。作者は吸わせたり咥えさせたりなんかのフェチか。
・反社会的な小説だ!
・咲良にもっと魅力を感じたかった。咲良との関係性が、ステレオタイプな語彙でしか説明されていなくてよく分からないので、会話からどういうニュアンスを感じたら良いかとか、ラストの下着に対する性的な思いの丈が分からなかった。一口に「幼馴染」と言っても色んな関係がありうるので、詳細な説明をして設定を作り込んだら作品全体がもっと良くなるのではないだろうか。
・うーん。どうしてもウソくささを感じてしまって話に入っていけなかった。すまんがこの主人公に愛着が持てそうにない。かなり苦しいもんを感じたな。
・よく読んでみると秘密要素てんこ盛りだった。ある意味一番テーマを体現してるかも
[あとがき]
手癖で書いてしまったなぁという感じで反省しております。
作中にヨーグルッペが出てきますが、実は最近久々に飲む機会がありました。
JR駅内にあるコンビニが3月に九州・沖縄キャンペーンの一環で入荷していて、心躍って手に取ったんですが思ったより濃いですね。
ヨーグルッペは青春の味でおっさんのための物ではありませんでした。
きっと精液も昔より薄くなってしまっているのでしょう。


5位 Private Brothel / Mr.SPERMA 5点
・声に出してみると思いの外リズムが良い.『垣根が緩い』というのが面白い表現
・短いというのもあるが、一番「秘密」してた作品のような気がする。配信というオープンな形式の中にある、虚構や汚い欲望が端的に描かれてて良い。
・ラバースーツで何をするつもりだ!? いいねと非公開いいねの扱いの差とか読みたかったな、秘密だし。
・ケーキを叩き潰すの、なんかポップで爽快感あって良いですね。僕とオフパコしませんか?
・消費物化が激しい世の中、それに流される自分をハッとさせてくれる作品。シンプルだがテーマをうまく使ったメッセージを感じた。
・自分を知らない人からの評価ほど嬉しかったりするよね
[あとがき]
かなり苦し紛れです。
いいのが全然書けなくて、もう今回は出さんほうがいいんではないかと思ってましたが、内訳的にもう一個数合わせが必要かなと判断して無理矢理仕上げました。
性癖が偏ってる人ならわかると思うんだが、本当にエロいと思ってるものってなかなか人に言えないというか、隠したくなるんだよな。っていうだけの話。なんとか膨らまして散文詩っぽくしましたが。
次はシャンとします。


4位 祈り / Leditem 6点
・長い。ツーリズムについてもっと話を聞いてみたい。ブレイク前のアイドルが出そうなB級映画の割に意外と面白くてじわじわマニアに人気出るやつ的なにおいがした。
・日本のあり方や突然の侵略者の描写に、中学の時に読んだ村上龍の本を思い出した。
・物語としてしっかりしていて面白かったし、熱意を感じた。ただ分量はアンバランスに感じた。話が動く時に限ってテンポが急すぎるというか……2回めの「のっぺらぼう」なんかかなりの見せ場だと思うけど、えらい淡白だったし。これだけの長さだけど、それでもなお尺が足りてなかった印象。もっと書きたかっただろうなと思った。
・熱い.熱すぎるぜ.
・中共は悪、はっきりわかんだね。ちょっと小ネタはくどさを感じてしまったが、力量と熱量が凄まじい。圧倒された。
・1点は長さへの称賛に、もう1点はそれでも案外読みやすい構成に。ただもうちょいまとまってるとありがたかった。
[あとがき]
以下、箇条書きのコメントは順不同。

・岡本太郎に対する礼賛オンリーの風潮(?)に一石投じたかったが、登場のさせ方は結局適当だな。流石にただのとばっちりな気がする。

・トラウマとPTSDに関しては、宮地著『トラウマ』(2013年)を参照した。あと、オウム真理教による地下鉄サリン事件の被害者とその家族による手記を集めた本『それでも生きていく』(1998年)もめくってみた。
 完全に余談だけど、文章力がないという事の残酷性を感じたんだよな・・・サリン被害者の手記からは。文章のプロじゃなくてずぶずぶに素人の人たちの手記、生々しい未曾有の大惨事の経験の話なのにいまいち伝わってこない。感情を表す語彙がなくてステレオタイプな言葉で、未熟な表現に止まっている。もちろんこちらが勝手に想像を膨らませて「ああひどい話だ」と勝手に思う事は出来るが、被害者が表現したいものとはずれているだろう。
 「政府関係者に手記を配り歩いてもひどさが伝わらない、十分な補償が受けられず忘れられていく・・・。」と嘆く内容もまえがきにあるんだが、純粋にこの文章だけみると、あまり効果的に伝わらないのではないかという感想を抱いてしまった。政治的な背景を抜きにして補償の問題とか語れなさそうのはそうなんですけど。

・香港のここ6、7年の情勢については、香港の活動家で政治犯であるJoshua Wongの『表現の不自由』(2020年邦訳、河出書房新社)を参考にした。

・米中の情勢に関する書籍はなるべく新しいものをと思い、渡辺著『2021年以後の世界秩序』(2020年)、田中著『ポストモダンの「近代」』(2020年)を軽くめくった。けどあんまり情報使ってない。設定作るの面倒臭い割にメリットが薄いよな。いやあ大変。

・国際or国内社会情勢に関して。2021-2051年という30年分の情報が当然手元に無い訳だが、流石に政治的な要素の全てが2021年現在の延長上にあるのは平凡すぎるので避けたいと最初に考えた。いくつかの非線形的な事象を決めてしまって思い切って話を作ろうとした。
 設定が30年後じゃなくて2000年後とかなら今の状況を全く考慮する必要が無いのかもしれないが(議論の余地はあるだろうけど)、30年後という現在と繋がった時代を設定すると苦労は予想された。しかし描きたかったからしょうがなかった。このくらい微妙に現実からleapする事でしか表現出来ないものがありそうだと考えた。
 未来を描くにしても、仮にSFモノだと社会を大きく変えてしまう技術がバーンと登場してそれ-drivenで物語が進行する、というパターンも多い認識を持っている(あまりちゃんと読んだ事ないが)。しかし自分が科学者の端くれのせいなのか、あまり30年後の科学にぶっ飛んだファンタジーを期待していないので、大したSFは構想しなかった。

・VRに関する設定はジェレミー・ベイレンソン著『VRは脳をどう変えるか?』(2018年)を参考にした。著者はスタンフォード大の教授で、Facebookのザッカーバーグが研究室を訪問してVR体験をした事が、FacebookのVR事業参入に大きな影響力を持ったエピソードがあるらしい。

・女性詩人・須藤の原型は、実在する詩人である文月悠光。エッセイ集(『臆病な詩人、街へ出る。』、2018年、立東社)やYouTubeのインタビュー動画を参考にした。しかし本物はまあまあ根暗さが強い。須藤の方が大分堂々とした人物だと思う。我々の同世代(文月は1991年生まれ)で何らかの文学的表現を一定以上のクオリティで発信している有名な人物を何となく意識しておきたいなという、願望もこめて投入した。
 作中で須藤が喋っている知識や思想は、実在する文月氏が持っているかどうかを考えて設定したものではない。
 二流以下のラノベに出てきそうな、やたらと都合の良い女の子にしたくはなかった(勝手なイメージだけど)。当初は意図していなかったものの、文月氏をベースにした事はこれを防ぐ役割も持ったのではないだろうか。
 庄野にとって単なる恋愛相手としてのポテンシャルをチラつかせるだけという陳腐な流れにするよりも、二人の関係にはもっと深みを持たせたかった。

・女性詩人の須藤を除くと、顔を見せて登場した人物の設定は全てオリジナルである。
 逆に、名前だけ出て顔を見せていない人物は全て(2021年に)実在する人物である。
 人物の設定や言動について不自然さや矛盾がないように検討する際には、『感情 類語辞典』(初版2015年、フィルムアート社)、『性格 類語辞典』(2016年、同社)を参考にした部分もある。自分が元から持ち合わせていた語彙では表現の幅は非常に限られていた。全然使いこなす境地には至ってないので、今後の課題です。つらみ。
 特に、極端な状況も含めて、人物の感情の流れなどが非連続的で不自然にならないように細心の注意を払うべきだという事をこれらの本から学んだつもりになった。こういった地道な(?)勉強の重要性を認知した。

・登場する大学は、2つの新しい大学(学園の大学と、奄美市立大学)以外は当然実在している。
 学園の構内にある自治寮「大上寮」は、京都大学の吉田寮と熊野寮のブレンド+α である。知ってる人からしたら当たり前すぎるけど。パーティは、京大周辺の某所にあるシェアハウスを参考にしたりした。
 登場する学生に「京大生らしさ」があるかというと、少なくとも意図的には設定していない。
 早稲田出身の須藤が早稲田的かというと、よく知らないが、多分違うんじゃないか。牧歌的といった割には結構ギラギラしてて、一部の東大生っぽい気もする。

・学園の大学のイメージは、京大は殆ど参考にしていない。東大の駒場キャンパスと早稲田の本部キャンパスのブレンドかもしれない。まあ、ほとんど出てこないから、どうでも良いか。

・琉球独立運動に関しては、前川・松島編著『談話風発 琉球独立を考える』(2020年)が着想のもとにある。試論としては面白い。ガチガチに現政権批判に固まった論が多いが(それはそう?)。提唱者の松島氏は、沖縄ナショナリズムみたいなものを主張している。まあそういう人もいそうではある。
 自分は、琉球が日本に現在所属している事に別にこれといった不満は無い。しかし歴史の一般論としては、100年や200年スケールで考えると独立してもおかしくはないのではないかと思う。日本である事の恩恵からそう易々と脱出するのかどうかは、未来人に訊かないと分からないが。日本の弱体化によって日本に属する事による恩恵の方が弱体化していくというシナリオはあり得るだろう。
 まあ、自分は沖縄ではなく奄美出身だから米軍基地の害を直接被ってない訳で、独立したいという一部の沖縄人の機運を頭ごなしに否定は出来ないかもしれない。
 そもそも沖縄と奄美だとアイデンティティは感覚的にかなり違う。奄美は薩摩藩だった歴史も長いし。琉球は島ごとにそれぞれの歴史と事情があり、全然一枚岩ではない。昔は沖縄(那覇)で奄美差別があった歴史もあるらしい。また、例えば沖永良部島の人は、自分達が奄美なのか沖縄なのかでアイデンティティのゆらぎがあるというマニアックそうな話も存在する(詳細を読もうと思うと、古本で2万以上出すか、鹿児島の図書館に行かないといけない。泣ける。)。この事情は流石にややこしすぎるので全く描かなかった。

・日本における架空の独立運動として、ファンタジーである井上ひさし著『吉里吉里人』(1985年)の上巻を若干参考にした。これは東北のある村が日本から分離独立するという話である。

・奄美学という思想のコンセプトは書籍『奄美学』(2005年、南方新社)より借用。コンセプト自体の提唱は1970年代の、山下欣一氏によるものらしい。
 これは別に琉球独立を論じたりはしていない。沖縄とは違う自分達のアイデンティティを明らかにするべく、かなり内向きな分析が行われている(歴史認識とか)。奄美人にとっては結構重要な本だと思うが最近まで知らなかった。多分殆どの奄美人は知らない。つらみ。

・須藤から庄野への質問の中に、希望に関するものがあった。
 (一応)僕がここで問題にしたいのは、「人間は何のために生きるべきか?」という根源的なクエスチョンの、だいぶ軽い一端だった。
 税金や人的リソースが大量に注ぎ込まれている現代科学は、我々人間が生きるべき道のりを創るために存在するはず。でもその道のりとは一体?これまではそれが漠然としたまま、目先の経済や疾病治療や、はたまた欧米への憧れ、対抗意識のために発展させてきた向きが強いのではないか。
 東大社会科学研究所による『希望学』を参考にした (Oohori 2010)。これは、「社会から希望が失われつつある」というここ数十年でぼんやりと広まっている感覚の正体を明らかにするというモチベーションに基づいているらしい。
 「希望」たるものは、ここ数十年で失われつつあると言われているらしい。確かに、何となくは、人間にとって必要な気がする。

 第1章で引用されているブロッホの言葉によれば、人間が歴史を作り出していく過程では、ユートピアに相当する概念が必要らしい。
マルクス主義的理論の立場からは批判されている。「歴史とは客観的条件に規定されて発展するものであり、人間の実践はその条件に働きかけるものであって」、人間が構想したユートピアを実現するものではない、と。

 しかし20代の詩人である須藤がこの『希望学』の内容をまるっきり知っているというのも設定として奇妙かなと思い、可能な限り彼女オリジナルの考えになるように努めた。若干天才キャラのつもりなので、そこそこぶっ飛んだ考えは許容するかなと思った。

 自分が科学に携わっているので、純粋科学(基礎研究)、もっと言えば科学とは何のためにあるべきか?という疑問は卑近だし、題材としやすいので用いた。科学の権威はなにやら絶大だし、人間にとっての存在意義も常に問われるべきだろう。
 国としても莫大な税金と人的資源を注ぎ込んでいるから、一般社会に対する回答を探さない訳にはいかないだろう。科学以外のものの存在意義を問う際にも、ある程度有効な視点を提示したかったが、どうなんだろうか。突き詰めて考えてはいないです。
 
 詩にどういう価値があるか、これも科学との比較のために論じるべきだろう。『今を生きるための現代詩』(講談社現代新書、2013年)に書かれた詩人・渡邊十絲子氏の考えを参考に、科学との接点を探った。
 須藤によって、渡邊氏の言葉を一部引用した。


・観光産業や観光に関する思想については『観光社会学』(2018年)、東浩紀著『ゲンロン0 観光客の哲学』(2017年)から着想を得た。結構面白かった。
 この小説に関係する話として、「人間は国家に属する事で人間でいられる」、という思想を紹介している。これを唱えたのはゲーデルやシュミットといった思想家で、
因みにこれは当時はナチスの思想に繋がったらしい。またナチスが出てきた。

・優生思想については、第二次世界大戦下のナチス・ドイツと、2016年に相模原ひめゆり園で起きた障がい者殺傷事件の二つから着想を得た。「役に立たない人間は死ぬべきだ。」という考え方。
 研究の優生思想という概念は完全にオリジナル。

・武装集団のメンバーと思しき人物が奄美市立大学の講堂の壁に描いた詩は、アメリカのロック・バンドMETALLICAが1986年に発表したアルバム ”Master of Puppets” に収録された代表曲 ”Welcome Home (Sanitarium)” を一部引用したもの。
 考えてみれば庄野達が生きた時代より65年前。本人達は1962年生まれなので、生きてたら89歳という事になる。ギリギリ1人くらい生きてそう。(閑話休題。)
Metallica - Welcome Home (Sanitarium)
https://www.youtube.com/watch?v=75Qyszz3RSg
 この動画は、歴史的な名演かつ、歌詞の日本語字幕が付いていて内容が分かりやすいので、気になってチェックするならこれを勧めたい。
 精神病院の患者視点で書いた詩で、施設の人間から「お前は狂っている」と言われ、偏見によって押さえつけられている設定。それに恨みを持っていて、いずれ蜂起する事を暗示する。ロックの激しさを利用した静と動の描出が非常に効果的に生きている名曲。ちなみにリリース後にはアメリカで似たような事件が実際に起きたらしい。曲そのものに影響を受けてではないと思うが。
 相模原の殺傷事件は障がい者施設の元職員が障がい者に対して起こしたので、そこは少し異なる。
クソ余談:METALLICAの代表曲に、戦場で五体不満足になった兵士の安楽死に関する "One" があるが、上記の曲がそのプロトタイプになったという説がある。”One” とは手足がなくなった「ダルマ」の肉体の事や、孤独さの事を複合的に指している。まあ、安楽死を支持するかどうかというよりは、戦争の悲惨さを訴える意図が強いと思われる。興味があれば以下の字幕付き動画を。
Metallica - One
https://www.youtube.com/watch?v=qwvtHdgekuA


・情景全般。大学、商店街、すき焼き屋。『現代日本の場面設定辞典』(2018年、株式会社カンゼン)を参考にした。小説をほぼ読まないので辞典とにらめっこしながら完全に自己流で書いた。
奄美の情景描写の資料は、まあ有名な小説家の本とか漁ればあるんだろうけど、今回は特に資料なしで、記憶だけで書いた。

・最近の琉球孤の軍事問題に関しては雑誌『世界』2021年3月号をわずかに参考にした。めちゃくちゃ左派系の伝統を持った雑誌だが。うさんくさい記事も多い。
一応軍事的に大きな矛盾が無い設定にしたかった。なってるかは自信ないです。

・小説でも映画でも、ちょっとした恋愛を挟むとそれだけで一仕事した感じが出るのは否めない。庄野と須藤の関係の流れは、オチが未完である事を多少飾る役割を果たしているかもしれない。いや、全然果たしてないかも。

・主人公視点で、情景描写と心情描写の2つが織り交ぜられるのは、リアルな感じがするかもと思ってそうした。リアルな体験は複数の物事が同じ時系列上で混じり合っているものだから。
少し吉本ばななの手法を参考にした。

・すき焼き屋での奄美周りの政治的な議論のシーンが長いと、流石に誰でも萎えると思ったので、そこは極力短くした。

・田中著「リベラルとは何か」(2020年)によれば、自由という言葉がそもそも多義的で、準じてリベラリズムの意味も多義的。
 リベラリズムと独立ってどう接続可能なんだろう?これは答えは分からないです。資料探したけど無かった。対立する事もあるのかもしれない。今後の歴史の中で、接続されたり対立したりするのか?

・偶然だけど、理事長の飯塚と奄美市長の前田が東大に入るのが、ちょうど目下2021年4月にあたる。

・白塗りののっぺらぼうがどこから出てきたのか疑問に思うかもしれない。これは完全に実際に見た夢の内容。

・西加奈子と椎名林檎の対談番組を観た。西の「小説って長いんですよ。書きたい言葉があっても、そこに行き着くまでに色んな回り道をしないといけない。もしも、色んなものを取っ払って、書きたい言葉だけ取り出して書くと、今度は重さや切実さが無くなってしまう。」ていう言葉が印象に残った。
 「ドメスティックな事を書けば書くほど、(読み手との間に)共通項がある。」も興味深かった。ドメスティックな事を書いて、もしかしたら読み手と共通項が生まれるのではないかという淡い期待も持っている。
 まあシリコンの読者はかなり偏っているので、もっと広い人に読ませるためにもっとブラッシュアップして、しょぼい新人賞とかに出してみたりすれば良い可能性はあるかなと思っている。全然ダメかな・・・?
 内容の矛盾の無さや、読者層に対して必要な説明が抜け落ちているところをもっと丁寧に埋め直す作業が必要になるよな・・・。

・「中央と地方という観念に対するレジスタンス」という発想は、雑誌「世界」の2021年2月号の特集記事の一つから借用した。
 このレジスタンスにVRを使うという考えは、オリジナル。

・須藤はもっと魅力的な人物になるポテンシャルはあると思ってる。締め切り前に突貫工事した部分はやはりひどいけど、締め切りがないと進まなかっただろうな。あるあるか!

・かなりエネルギーをかけてみたつもりなので、これで突っ込まれる部分はだいぶ自分にとって勉強になるだろうと思います。。。皆さんのコメントに心から感謝します。



Oohori, Ken. 2010. “The Complexity of Local Identity: An Examination of the Direction for Uses of the Concept.” The Journal of Social Science 61 (5): 143?58.



3位 Floating giant / Leditem 9点(ACE1)
・いい~ですねぇ。ニヒルな地の文が心地良い。主人公の人格が違和感なく、すっと入ってきて、狂気と正気のはざまの世界をありありと感じさせてくれる。特に陰茎のくだりはたまらねえ。ただ、田中が弾け飛んだのは唐突に感じた。「え、そういうのアリだったの?」みたいな。作品の世界が急激に遠のいた気がしちゃったな。
・こんな狂気を描いているのに変に共感させられた。
・陰茎チャンバラはさておき,設定のユニークさが魅力的.「よくは知らないが、田中が思いつくような場所からは、どうせ警察が簡単に掘り出すのだろう。」こういうさらっと書かれた文がうまい
・ここでバイオレンスな作品が今までシリコンにあっただろうか。全てがそうだが、最後の一行だけでも十二分に強烈。
・不謹慎の塊だけど読む人すら狂気の炎で炙ってくる熱量が凄い
・後半はカオスで正直よくわからんかったが、勢いと衝動はやけに伝わってきた。チンポ!!!!


2位 100万回捨てた童貞 / 卑猥本 11点(ACE2)
・じわる。
・ちなみに人間の人生は約三万日だそうで。100万回って気が遠いね。
・書いてる奴が(おそらく)既婚者なのがちょーむかつくんですけど。
・話のまとめ方が上手くて好き。言われてみれば確かに童貞は自己申告だけで成り立ってる
・非常に人間味のあるいい話だった。『前を向くためではなく、振り返らなくて済むために』という文言が好きだな。
・永福町のアパートでのオフパコがクソワロタ。東大か?明大か?四ツ谷で声をかけてきた女の子でまたワロタ。宗教?なんか良い話だな~。
・童貞を捨てたくても捨てられないおかしさ.構成も細部の描写もさすが.深刻なようでいて落とした単位が2単位,なんていうのもまた笑いを誘う.しかし,読み終わったあと,主人公の童貞は決して女では捨てられず最終的に男友達によって捨てられたということは主人公は実質的にゲイであり,彼の行動に共感し笑ってしまった読者もまた同様にゲイなのではないか?というのが頭を離れない.
[あとがき]

おひさしぶりです。ほんとに久々に小説を書きました。

「久々に」なんて言いつつ、実際小説になっていたのなんて皆無でしたけどね。なに考えてたんだろね、10年くらい前の自分は。

「秘密」ってお題について。はしりのアイディアがいろいろ思いつき、考えててけっこう楽しかったです。たとえばこんなん。

・天才の答案が見えて、カンニングをし、テストで念願の一位になった万年の二番手
・不満が募り、初めて行きずりの夜を過ごした夫。言えない、相手が妻の親友だっただなんて。
・「あいつらはどれだけ偉そうでも俺はチンコが大きいんだ、いつでもあの女たちを快楽の海に沈められるんだ」という重松清の「ナイフ」みたいな話
・大御所和田アキ子は勝俣州和に恋をしていた。彼女は高らかに歌う、「この穴をハメるのは勝俣」という「ひみつのアッコさん」
などです。

ちなみに上から3つはあとがきを書きつつ今思いつきました。…アッコさん以外は思い付いてはボツを繰り返していたので忘れました。
どうやら10年前の自分と中身はそんなに変わってなかったようです。

で、アッコがなんで急に童貞を捨てることになったかというと、シリコンがなんかふざける雰囲気に見えなかったからです。みんな大人になったなあ。

そんなこんなで締め切り当日どうしたもんかと頭を抱えていたところ、昔思いついたホモ小説「100万回イったネコ」を思い出しまして。

また、昔会社の先輩に「友達に彼女ができたことを隠す意味がわからん」と言われたことも使えるかな、という感じであんな感じのタイトルができました。
内容としてはだいぶ脚色した私小説です。だいぶ脚色はしてます。

そしてみなさんたぶんお察しでしょうが、この作品、途中からいきなり急にまとめに入ります。

理由はこれまた簡単で、書き始めたら思ったより興が乗って、こりゃ相当長くなるし締め切り(の翌日)までに完成せんわ、となったからです。久々に書くと言っといて、欠席したら元も子もない。
書かない傑作より、書ききった駄作です。 

もうちょい計画性と構成を意識して、次はちゃんと面白い作品を書けるようがんばります。


1位 ■■ / xnu!7 15点(ACE3)
・世界観がとても好みだった。誤字が多いのが惜しい。
・設定が面白い。上司との関係にもう少し説明が欲しかったかも?バーニーが人間扱いされていない理由って何なんだろう。仕事を続ける切実な理由がなさそうなので、なんで辞めないんだろうと一瞬思った。就職先がない?
・久しぶりのスクナリワールド、堪能しました。中盤以降の演出力は見事なんだけど、前半がちと淡々としてたかな。『二人の間に秘密はありえない』ということをもう少し強調しておいてくれれば、もっと後半が活きたと思う。
・シリコンでこんな異星人コンタクトもの(人じゃないけど)が読めるとは.『兮』検索してしまったよ…
・いやぁ良い作品だった! 未知とのコミュニケーションという題材自体に新しさはないが、短い中でとてもやさしい気持ちになれた。""今バーニーの頭の中を占めている感情は、彼自身のものではない""、これが良い。
・SFだけどいい案配の設定の軽さ。おもろいね。
[あとがき]
 スギ花粉で鼻がやばい。こんばんはxnu!7です。読んでくれてありがとう。
 最初に謝罪から。〆切を丸一日オーバーして申し訳ありません。
 今回はネタ出しへの協力があり、最初の〆切の1週間前にはちゃんとネタがありました。おかげで書き始めはいつになくスムーズでした。
 「秘密がテーマなのだから、秘密をどうやっても守れない人を主人公にしよう。思考が周りにダダ漏れな少年が好きな女の子にプレゼントを用意する話とか最高じゃない?」みたいな感じノリノリで考えてました。
 ところが作中の人物の名前付けのためにGoogle検索したところ、「サトラレ」という同じような題材の漫画を発見してしまいまして。テンション下がりまくって展開全部書き直しました。
 それでも「思考がダダ漏れの状態で秘密を守り通す」という話をどうしてもやりたくて、このような改変となったわけです。
 個人的にはマイコン部で小説書いてた時のようにコンピューターを活かした作品作りが出来て満足です。設定厨だったあの頃の魂を少しだけ取り戻せました。おかげで中二感も出てしまいましたが、それはそれ。
 作中に出てくる「兮」という字は「意味の無い漢字」で検索して出てきたものをそのまま使ってます。漢詩でリズムを整えるためだけに使う文字だとか。
 変な漢字使うなんて痛々しいなあと自分で思わなくもないですが、「■いで、■いて、■っていた」みたいに書くと逆に何故か想像出来てしまうんですよね。けしからん方向に。謎というのはある程度形があった方が謎感が増すという謎。
 さて次のテーマは「鳥」ですね。次は〆切を守る作品を書きたいです……。それでは次回もよろしくお願いします。




トップに戻る